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少女漫画/松田奈緒子

2009年03月02日
4088654587少女漫画 (クイーンズコミックス)
松田 奈緒子
集英社 2008-02-19

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この作品も、「このマンガがすごい!2009」のオンナ編に登場する作品。
こちらは10位の作品です。
少女漫画ファンなら誰でも知っている、定番中の定番(でも、集英社系が多いですね)をモチーフにした連作短編集です。
「ベルサイユのばら」では、派遣OLの主人公が大の「ベルばら」ファンで、マンガのブログをやってるって言うのがなんだか、親近感ですよね(笑)。その友だちも児童館で「ベルばら」を再読してハマったと言って見せてくれる本棚が、、あるある、ウチにもそれ、ありますよ~!と、大いにニヤけてしまうのです。オスカルさまのように、凛々しくあろうとする主人公の気持ちにすごく感動してウルウル。やっぱり、「ベルサイユのばら」は永遠の「少女漫画」ですよね!!!
「ガラスの仮面」では、主人公は女子アナですが北島マヤじゃなく、姫川亜弓なのですね。「姫川亜弓」とは呼ばず「亜弓さん」と呼んでいるのが、なんか意外なんだけど分かる気がします。「オスカルさま」としか呼べないのと同じですよね(笑)。
女子アナと言う呼び方・・・たしかに男性アナウンサーは「男子アナ」とは言わない。女子アナと言う言葉をそのまま受け入れていたことに申し訳ないような気持ちになりました。個人的に「絶壁」が気に入りました(笑)。
誰にでもある育児途中のこだわりやストレスや自己嫌悪を描いた「パタリロ」。
浮気な彼氏に翻弄されてしまう悲しい女を描いた「あさきゆめみし」。
そして、やっぱり私世代の原点の一つ「おしゃべり階段」は、可南がコンプレックスをチャームポイントに変えたことに、この主人公も自分をなぞらえていく場面に、思い当たる節が多すぎて思わず笑ってしまいました(笑)。
天秤ばかり・・・理科の立川先生のセリフ、忘れられませんよね。
それぞれの作品中の主人公が、(ほとんど)元マンガの主人公みたいに強かったり幸せになった利する姿に、読む人たちはきっと勇気や幸せな気分を味わう事ができる・・・二重に美味しいマンガでした。

最後に「少女漫画」。全編通してどこかがちょっとずつ関連しているんだけど、一冊を通して主人公と言えるのがラスト「少女漫画」の主人公。売れない少女漫画家、俵あん。
彼女が「少女漫画」ってなんなのか・・っていうところに気付いていくシーンは感動そのもの。
苦しみぬいた挙句、出口を見つける・・・長い暗いトンネルを抜ける・・・もがきながら脱皮する・・・その「機」との出会い。そういうのがキッチリ描かれていると、圧倒されてしまいます。
いやもう、これは泣けた。
青年漫画家との会話なんかもすごく「ふむふむ!」と思うところがあって、とても読み応えがありました。
それと「素人のマンガ評なんてほとんどクズ」という言葉・・・痛かったです(笑)。(※ただの感想ですってば・・)


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[ま行のマンガ家]松田奈緒子 | Comments(1) | Trackback(0)

悪いのは誰?/松田 奈緒子

2007年12月21日
4088653335悪いのは誰? 1 (1) (クイーンズコミックス)
松田 奈緒子
集英社 2006-03-17

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4088653572悪いのは誰? 2 (2) (クイーンズコミックス)
松田 奈緒子
集英社 2006-08-18

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お初の漫画家さんで、この本もなんとなくAmazonの書評で、高評価が付いていたので興味を惹かれました。
うーん、正直、Amazonの書評の感じほど、わたしは面白いとは思えなかったんだけど、2回目を読んだ時には、なるほどねぇって言う感じで、コレは結構何度も読んで噛み砕いてやっとそのよさが分かってくる作品かもしれない。

主人公の晴(男)は、外洋航海士の父親を海の事故で亡くしてから、母と二人で生きてきた公務員。恋人のちさはメイクアップアーティスト、ひょんなことから今をときめく大手のメイクアップアーティスト、MIHICに見出されそこで働き出します。
なぜか、微妙に歯車が狂い始め、ちさ本人は変わらないんだけど、晴やMIHICのスタッフの気持ちに、小さなわだかまりが出来て行き、ついには「破局」が訪れるまでを描きます。
「破局」は、誰の破局なのか、そして、その直接の原因は一体誰にあるのか。
まさに、「悪いのは誰?」というタイトルの通りの物語です。

ちさという主人公の恋人(というか、こちらも主人公)ですが、まぁ前向きだし明るいしいい子なんだけど、仕事がらみの飲み会で、取引相手もいるのに、その場で自分の身内の事を「パパ、ママ、おばあちゃん」と呼ぶ子どもっぽがある。。それが本筋にからんでくるので、著者も意図してそう言わしめたと思うけど。
最初は分からないんだけど、付き合ううちにその人となりがよく見えてくる。ちさの場合、自分はそんなつもりもないのに、周囲の人を傷つけたり怒らせたりする人間なのですよね。
これは、勝手に怒ったり傷ついたりする方に非があるともいえます。ちさには全然悪気はないのだから、それを「悪意」に取ると言うのは人間性が悪い。
でも案外、人間関係ってそういう部分があるのでは?
その中から、「それでもちさが好き」と言ってくれる人と付き合っていけば良いのです。でも、会社とかの閉鎖社会だとそういうわけにも行かないですね。

自分では何気なく発した一言が、相手に大きな影響を与えてしまう。
でも、言った本人は全然それに気づいてない。
悪いのは誰、
言ったほうか、それを悪意に捻じ曲げてしまう受け手のほうか。

きっぱり別れてしまう明と暗。爽やかさと後味の悪さが入り混じったラストが印象的でした。
[ま行のマンガ家]松田奈緒子 | Comments(0) | Trackback(0)
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