2009年12月26日
![]() | エマ (1) (Beam comix) エンターブレイン 2002-08-26 by G-Tools |
このマンガの存在は知っていましたが、どうも、心惹かれないように感じ、スルーしていました。
自分の読むジャンルじゃない・・っていうか。
でも、ネッ友さんに借りて読んでみましたら、なんと面白いこと!
良質の映画を見ているような雰囲気に、ガツンとやられました。
時代背景も、メイドの服装も古臭い(というか、時代がかっている)のに、メガネ女子っていうのが現代的で、ちょっと時代物と現代モノの融合的なところがミソでしょうか。
エマと言う、とある家庭教師をしていた老婦人の家のメイドが、その老婦人のかつての教え子の貴族青年と、身分違いの恋をするという、内容的にはとてもオーソドックスな悲恋物語。
エマが、メイドでありながら教養と素養をその老婦人に仕込まれて身につけているところ、とても慎重で慎み深く対人的にも賢いあたりが、好感が持てます。また、普段は地味地味なのに、エマがいったん「本気」で装うと、とんでもなくきれいになるって言うのもお約束でしょうか。
身分違いの恋は祝福されなくて、それをどうやって乗り越えていくかが読みどころのひとつでもありますが、周囲の温かい気持ちなんかも、ジーンとさせられて読み応えあります。
全体的に、その時代のイギリスを堪能できるとても面白いマンガだと思いました!!
食わず嫌いはいけませんね!(*^_^*)
2009年09月12日
![]() | 星守る犬 双葉社 2009-07 by G-Tools |
WEB上ですごい人気で「泣ける!」と評判の「星守る犬」、ネッ友のあさみさんに貸していただき読むことが出来ました。ありがとうございます。
朽ち果てた車の中で寄り添うように、男性と一頭の犬の遺体が発見された。鑑定の結果は男性が死後1年。だが犬は死後わずか3ヶ月。この時間差が意味するものとは? それは哀しくも愉快な一人と一頭の、残されたわずかな“生”を生き抜く旅の終着点―。 (Amazon)
と、ありますように、ある男とその飼い犬が悲しい死を遂げるまでの最後の時間を主に描いてあるのですが、犬の視点で描かれていて、その犬が主を慕う様がものすごく健気でかわいいです。
しかし、全編読んで思うのは、犬が主を慕う健気さよりも、この主人公の男の一生の悲惨さ・・・でしょうか。普通の男として普通に一生を終える(たとえ病気で人よりも早く仕舞えてしまったとしても)はずのこの男が、どこでどう間違ったらこんな人生の終焉を迎えなければならないのか・・・その理不尽さに唖然としてしまいました。
私はこれを読みながら「イントゥ・ザ・ワイルド」という映画を思い出したのですが、「イントゥ・ザ・ワイルド」は、ある意味、主人公自らその生活を選んだわけです。でも、こちらは・・・。
夫を捨てた奥さんの仕打ちはどうでしょうか。私も人の妻としてやはり、おいおいそれはないんじゃない?と思ってしまいました。良妻でもなんでもない私ですら。そこにきっと何かがあったに違いないのですけど、漫画を読む限りはひたすら奥さんに頭にきましたね。
逆に、人生を諦めるように、そのまま「延命」もせずに「終焉」を受け入れた主人公にたいして、私は、今までの言葉と矛盾するかもしれないけど、潔さと、ある種の憧れを抱きました。
いいじゃないか、何もかも捨て、身ひとつになり、たったひとりで人生を終えて行くという選択肢も。あの男が不幸だったと誰に決め付けられましょう。(それなら「自殺」はいいのか、と言われたら、私は自殺は良いと思いません)
書評の中で、犬がかわいそうだ、生活保護を受けるなりして、自分の身や犬を救うべきだった。。という意見も多いですが、まぁそれも一理あるなぁと思いながらも、この二人はこれでよかったんじゃないか?とも思えるのです。
男の悲惨な人生、だけどそこにある自由。。。。
奇妙に嫌悪と憧れが同居する不思議な読後感です。
泣けはしなかったけど、色々と考えさせられました。
2008年07月04日
![]() | ラッキー―Are you LUCKY? (ビッグコミックス) 村上 かつら 小学館 2008-05-30 by G-Tools |
くぅ~~~~~・・・・・・
やられました。。。
しばし、立ち上がれないほど感無量になってしまった。
↑トシのせいで、この管理人はやたら涙もろい、と言うのを考慮に入れていただき、2割引で見ていただいたとしても、とても心温まるよい物語でした。
とにもかくにも涙もろい管理人(中年、初老?のおばはん)は、号泣でした。
動物が好きで、ペットに犬を飼われている方などは特にご注意、人前で読まれませんように。
日置祐太、小学5年生。
パパと二人で団地に住んでます。
ある日、押入れの中から 長いこと放置された犬ロボを発見。
それはママの思い出がたくさんつまった不思議なロボットだった。
名前はラッキー。
ぼくとラッキーの不思議な生活が始まる。帯より
まず、このめちゃくちゃカワユイ「犬ロボ」のご説明を。
見た目はぬいぐるみのようなのですが、ロボットです。
型が古く、「喋り」ません。そのかわりに、目の部分に意思を表示するモニターがついていて、ちゃんと自分の意思を表示します。しかし、5文字と言う制限つき。ラッキーと名付けられたこの犬ロボは、5文字の中で飼い主の裕太と意思を通わせ合って行くのです。
かわいいし、おりこうさん、ロボットだから当たり前ですよね。でも、無機質であるはずの「ロボット」なのに、なんと言う温かさなのでしょう。
裕太少年は母親に先立たれ、父親と二人きりで生活しています。父親は愛情深く、裕太はきちんと幸せな家庭生活を送っています。それでも、母親の恋しい小学4年生、無理をして我慢している毎日でありましょう。その中で不意に訪れた「母の面影」。
ロボットにはお母さんの「気持ち」が残っているので(犬ロボは飼い主の模倣を蓄積していくと言う設定も上手い!)裕太はラッキーを通して母親の自分に対する深い愛情に触れ、心の安らぎを得て行くのです。
幼い子どもを残して先立たねばならない母親の無念は、察するに余りあると言いましょうか、自分になぞらえて想像してみただけでもかなり来るものがあるのですが、残された子どもの母親に対する思慕と言うものも、それ以上に切ないものでしょう。そういう感情が、悲しいとか寂しいとかマイナーな気持ちだけじゃなく、とても温かいものとして描かれていて、それがまた余計に涙を誘うのです。
ラッキーに出会った事で裕太少年は寂しさから解放されただけではなく、ちょっぴり強くたくましく成長していきます。それはもちろん、ラッキーとの関わりの中だけでなく、ラッキーをきっかけとしたいろんな関わりの中で。わが息子を遠い空から見守っているような気持ちになってしまい、裕太少年を愛しく思うのでした。
2話あたりまで読むと、近い将来訪れるであろう「先」のことがぼんやりと見えてきて、それがまた読んでいる人間に、ある「効果」を与えています。それもまた上手い設定です。やられるやられる。うう~~~~。
ともかく、ともかく、読んでいただきたい。
ソンはさせません。是非!
2007年11月19日
![]() | 大阪ハムレット (1) 森下 裕美 双葉社 2006-05-12 by G-Tools |
![]() | 大阪ハムレット 2 (2) (アクションコミックス) 森下 裕美 双葉社 2007-01-12 by G-Tools |
かの「テレプシコーラ」が手塚治虫漫画賞を受賞した時、短編部門を受賞したのがこちら。
うん!!
いい!!
絵柄はコメディタッチで、大阪弁がバリバリで軽いギャグマンガかに一見見えますが、とんでもない、内容はかなりシビア。そりゃもう、重いです。
生きるべきか、死ぬべきか。。。
でもそれを跳ね返すパワーを感じさせてくれる人々が、この物語の中では生き生きと躍動しているんです!
時には主人公たちの悩みや凹みに共感して泣けてきたり、そこから浮上するガッツに感動したり、ともかく泣ける泣ける!!
まさかこんなにも泣ける作品だとは思いませんでした。
表題作の「大阪ハムレット」では、ヤンキーのユキオくんが担任に「ハムレットに似ている」と言われて、激昂する所から始まります。
ユキオくんはシェークスピアもハムレットも知らないので、最初は「ハムスターに似ている」と言われたと思って怒るのです。
でも、ハムスターではなくハムレットだと分かって、その原作を読むことにします。
でも、読んでますます激昂!
だってハムレットの家庭環境は複雑・・・実はユキオくんの家庭も複雑なんです。
その複雑な家庭で、悶々としながらも結構「いい子」なユキオくんの気持ちに、読んでて胸がジーンとします。ハムレットもちゃんと読みこなして、ハムレットの優柔不断さを批判したり、親にたてつく場面をなじったりして。人生何も、自ら不幸になることはない!強面のユキオくんが愛しく感じます。
2話目は「乙女の祈り」。女の子になりたい男の子、ヒロの物語。これも、ヒロの気持ちをきちんと受け止めて応援しようとする家族や周囲の温かい気持ちがいいです。
「名前」は、1巻2巻通して一番感動したかも。
不妊治療中の主人公、夫の非協力的な態度に悩んでいます。
その家には夫の姉親子が出戻りしていて、主人公にとっては義理の姉や義理の甥と一緒に、もちろん夫の両親も同居という大所帯。その中で今、夫婦がなんとなくギクシャクしているのです。物語はいろいろなことがあって、夫婦が気持ちを寄り戻すところまでを描いてあるんだけど、すごくいい!!
物語りも感動できるけど、漫画の構成としてもすごくいい!いろんな場面から主人公の気持ちがよく伝わるし、すべてのエピソードの無駄なく見事につながっている事。たった26ページなのにこの内容の濃さ、素晴らしい!
「恋愛」は、年の差カップルの物語。こんなことは滅多にないでしょうが、でも、ほのぼのさせられてじんわり。何気に家族の顔が激似しているのも面白いし(笑)。ほのぼのだけではない奥の深さがあるのですよね!
2巻の「十三の心」は、本が好きな人なら絶対に分かる少女の気持ち。好きな文章、センテンスに出会ったときの心の高揚、またそれにショックを受ける若く瑞々しい気持ちが、すごくよく伝わってくる。もちろん、それだけじゃない、難しい家族の問題もはらみ、やり場のない少女の気持ちに涙がじんわり。
「大阪踊り」これまたよかったー!泣けた泣けた。
バレエ漫画になってまして。。(?)都会から戻ってバレエ教室を始めた先生のもとで、エリカちゃんも一生懸命習います。このエリカちゃんがすごくいい!ひたむきで可愛くて。人はみなエリカちゃんみたいな時期があったんだろうに、それを思い出そうよ!と、言いたくなる様な。エリカちゃんの大阪踊りに涙があふれてしまいましたよ。
「オードリーの家」は冒頭の「大阪ハムレット」と同じく、親の再婚、親の恋愛に置いてけぼりを食わされた子供の寂しさがテーマ。泣けます。どうしようもない気持ちが見事に伝わってくる。誰も悪くないから余計にやるせない。でも、きっとみんながいつかは幸せになれる日が来るのじゃないかという、希望の見える終わり方がいいですね。
逆になんだか寂しい終わり方をするのが「この世界の女王」。さらっと描いてあるけど、かなりシビアで2巻中一番辛い話なのかもしれません。
ともかく、受賞は伊達じゃありません!
オススメです!!
あさみさんにお借りしました。ありがとうございました。
2007年07月02日
![]() | ぶっせん 上 三宅 乱丈 太田出版 2006-10-19 by G-Tools |
これまた面白いマンガ、読みました!!
ぶっせん・・・と言うのはつぶれかけた山寺「仏物専寺(ぶつぶつせんじ)」の起死回生を狙って始めた「仏教専門学校」を、ひとは親しみを込めて?こう呼ぶのです。この漫画は、そのぶっせんで仏教の勉強をする生徒たちの全寮制生活を、リアルに叙情豊かに描く作品です。
よくまぁこんな設定を思いついたと言うか・・・今まで見たこともないタイプの漫画。ストーリー運びの妙と言うか、次のコマで待っている意外性にしてやられてしまいました。唸る!
ぶっせんには強力なライバルがあり、それがお隣の真言宗系のお寺「金々腹寺(きんきんふくじ)」。ぶっせんにスパイを送り込みます。ところがこのスパイ、まるでスパイの素質のかけらも持っていない。あっという間に、ぶっせんの本当の生徒のように、いいえ本当の生徒以上に馴染んでしまうのです。
それが一巻の表紙を飾る、このドングリ眼とたらこ唇がトレードマークの田村正助です。これがもの凄く強烈なキャラで、物事を秘密に出来ない性分。それで自分がスパイである事も最初から暴露しているのですが、常に(たくあんを味付けにして)碁石を舐めている、草履を抱いてしまう、などなど、奇妙奇天烈な行動の数々。正助が風邪を引いたら、青天の霹靂みたいな驚かれよう(つまり、バ●、笑えるほどに。)しかし平和を愛し誰かがけんかをし始めたら「なーかーよーくー!!」と体を張って止めたりする愛しいヤツです。
そして、仏物専寺を学校にしようと思いついたのは、仏物専寺和尚の老師の愛弟子、雲信、通称つまんだ。見ての通り「つまんだみたいな頭」だから。(2巻表紙参照)
寺を学校にして、親から入学金や授業料を取って寺の経済を救おうと思ったのは良いけど(良いのかな?)思惑通りに、ことが運んだためしがないと言った苦労や、また、おバカな生徒たちやあろうことか、住職である老師にさえ振り回される苦労など、並大抵じゃない雲信の日々の戦い・・・それが、物語の見所の一つです。って言うか一番の笑いどころ。まったくこの生徒たち!!正助のほかにももの凄く個性的な面々が(印象が薄くて和尚に名前を覚えてもらえない生徒もいるけど)そろってるし、センサー先生も超暑い!この面々が考え付く事といったら、読んでいても口をあんぐりあけてしまうような、突拍子もなくそしてオカシイことばかり。良くこんな事思いつきます、著者の三宅乱丈さん!
だいたい一話12ページと言う短さで、ストーリー漫画というよりはギャグ漫画の態をなしているようです。たった12ページなのに一話の完成度の高さは素晴らしいです。きっちりオチが付いててね。でも全体を通してみると、これまたきっちり一つの長編として見事に完成されています。
ぶっせんの生徒たちの日常が面白く描かれている中で(本当~~~~に、面白いんですよ!)、
・三条と城とマナちゃんの三角関係
・真美お嬢様と貞奉の恋
・ぶっせんの土地売買
・拳銃の処遇
・金々腹寺内の出世競争
など、次々に難問が沸き起こり、飽きない面白さ。シビアだったりあるいは仏教を題材に取るだけあって、奥の深い言葉に胸打たれたりしながらも、基本は笑い。徹底的に「笑い」なのが良いです。
この復刻版、1巻の帯が二ノ宮知子さんで、解説が夏目房之助氏。2巻の解説が三浦しをんさん、3巻は阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史さんという豪華さ。それぞれに書き下ろしの番外編がついてるのもお得感を満足させてくれます。ちなみに3巻表紙は、三浦しをんさんにも大好き!と言わしめるキクさんです。この人の魅力は・・・ともかく読んでくださいっ!!
んで、この三宅さん、絵が上手い~!
お寺なんて描くのむずかしいと思うんですけどね、すっごく上手に端折ったりして、部屋の中にしろ外にしろ、何気な~く力抜いて描いてあるって言う印象ですが、その実かな~り上手いと思いました。
最後に驚いたのがこの人が女性だって言う事。
でも、そういわれて見れば納得。全編そこはかとなく上品だもん。
オススメです!
![]() | ぶっせん 中 三宅 乱丈 太田出版 2006-11-23 by G-Tools |
![]() | ぶっせん 下 三宅 乱丈 太田出版 2006-12-14 by G-Tools |
2007年02月22日
夏目友人帳 1 (1) | |
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あらら~。面白そうな漫画発見!
というか、くままにお借りしたのですが。(くまま、ありがとう♪)
「あやかし」「妖」ですよ!!
祖母の夏目レイコが残したノート、それが「友人帳」。
そこには妖怪たちの名前が書いてあって、名前を書いた妖怪たちは統べることができるのだ。
その「友人帳」を受け継いだ夏目貴志くんが、妖怪たちに名前を返そうとする物語です。
ちょっと「百鬼夜行抄」と、すこーし「蟲師」にも似ている。
百鬼で言う所の「青嵐」的存在が「にゃんこ先生」かな。
でも、招き猫の形になっているので愛らしいんです(笑)。
青嵐と同じで、主人公の「いざ」と言うときは、本来の姿になってカッコよく助けてくれるのだけど、にゃんこ先生の本来の姿って言うのは、大きなイヌ?カッコイイ!
しかし、ストーリーに流れる雰囲気は、かなり違いますね。
だって、こっち「夏目友人帳」は、泣けるんです!
まず、主人公のタカシが寂しがりやなのねん。
友達がほしいのに、特異体質のお陰で友達が出来ない
孤独に身をゆだねながらも、寂しがる様子が
結構そそられる。
祖母レイコも、実は普通に友達とかが出来なかったから
妖怪の名前を友人帳に書いて、妖怪とつながりを持っていたかったのかも?と、思い当たるタカシ。
そんなタカシとにゃんこ先生がいつの間にか
いいコンビになっていくのです。
⇒ short (06/24)
⇒ お (06/20)
⇒ short (05/23)
⇒ short (05/23)
⇒ short (05/23)
⇒ short (05/23)
⇒ short (05/23)
⇒ short (05/23)
⇒ 六猫合体キャットマーズ (01/03)
⇒ 栗ごはん (10/21)