IS―男でも女でもない性/六花 チヨ
![]() | IS―男でも女でもない性 (7) (講談社コミックスKiss (618巻)) 六花 チヨ 講談社 2006-11-13 by G-Tools |
今の時期、就学児へのCMが目立つようになりました。
ランドセルです。
最近はいろんな色のランドセルがありますね。ビックリするぐらい多彩。
でも、大半の子どもたちはオーソドックスに黒や赤、ちょっと冒険してピンクやブルーって言う感じでしょうか。もう、小学生の子どもがいないのでよく分かりませんが。
でも、きっぱりと、男の子の色と女の子の色に別れる子どもの持ち物(の代表格がこのランドセル)、世の中にはそのどちらを持てばいいのか分からない、どちらを買うにも抵抗があると言う人たちが存在します。
それがこの漫画の主人公、ハルの持つ特徴である「IS」です。
インターセクシャル、半陰陽、男でもない、女でもない人たちです。
男か女か2極しかない世の中、それ以外の人がいるなんて(この場合は性同一性症候群と言う意味ではなく)わたしはこの漫画を読むまで知りませんでした。
知らず知らずに、自分の認識の中でしか物事を見られなくなっているということに、改めて気付かされハッとします。
詳しいあらすじは過去の記事からどうぞ。こちら。
今回8巻までを読んだのですが、高校生になりISをカミングアウトしたハル。皆に理解して欲しいという願いをこめて「IS質問箱」を設置します。
そして、ハルには男か女かどちらの性を選ぶかと言う大きな決断が迫っています。
女の子に変わってゆく体に、違和感と抵抗を覚えたハルは男の子として生きる決意を一端はするのですが、でも、それも何だか違う・・。
男の制服で登校することを認められ、男子としての生活が始まってから、なおさらに自分が男子とは違うと言う事を見せ付けられたり、女の子と一緒にいる方が気が楽だということに気付いたり、ハルの心の揺れ動く様子がリアルに丁寧に描かれています。
ハルに「男子」になられた周囲の戸惑いなどもあわせて、みんなの気持ちがすごく丁寧に書かれていてとってもリアルに伝わってきます。
また、ハルの友達のよし子を通じて、恋人とのあり方、今話題のデートDVのことも考えさせられます。自分を大切にする事を皆に伝えていると思う。
ハルと伊吹の関係もこの先気になるのですが、美和子とレオンも。
レオン、いい奴ですよね。
ランドセルの事をおもうとき、レオンの素晴らしさを思い出します。
「おれ、ハルと一緒に育ったから、男がいて女がいてISがいるのが当たり前になってる」というレオン。ISに限らず、レオンのようにいろんな人がいるということをみんなが認め合ってゆく社会というのは、理想の社会なのだと思う。
この漫画はそのことについて、深く考えさせられる素晴らしい作品です。
重いけど、みんなに読んでいただきたい作品です。
デトロイト・メタル・シティ/若杉 公徳
![]() | デトロイト・メタル・シティ 1 (1) 若杉 公徳 白泉社 2006-05-29 by G-Tools |
![]() | デトロイト・メタル・シティ 2 (2) (ジェッツコミックス) 若杉 公徳 白泉社 2006-10-27 by G-Tools |
![]() | デトロイト・メタル・シティ 3 (3) 若杉 公徳 白泉社 2007-04-27 by G-Tools |
バンド名は「デトロイト・メタル・シティ」。インディーズ悪魔系デスメタルのカリスマ的人気を誇るバンド。「昨日は母さん犯したぜ、今日は父さんほってやる」とか「すべての女をレイプせよ」とか「メス豚どもを売り飛ばせ」とかこう言う歌詞の楽曲でライブ会場内は興奮の坩堝!
そのボーカル、クラウザー(曲も作っている)・・・しかし、その実態、根岸崇一くんは、実は心優しい青年で、おしゃれでPOPな歌が大好きで(カヒミカリィのファン)、田舎の母を大事にし「お母さんにも『いい感じの歌ね』と誉められるような歌がうたいたい」それが願いなのです。
願いとは裏腹に、やりたい曲は誰にも受けず認められず・・・やりたくないデスメタルは熱狂的なファンがいて、止めたくても止められず。そのギャップが面白いのですが、特におかしかったのは、あるとき田舎に帰ったらお母さんが「DMC(デトロイト・メタル・シティ)」のバンドTシャツを着ていたとき。しかも弟までがDMCに毒されているのです。
なんとも申し訳ない気持ちになってしまう根岸君。弟を「更生する」ことを決意して、なんとクラウザーの姿に。この「更生」がすっごくおかしかったですね。
「織田信長を本能寺で暗殺したのは誰?」と勉強まで教えようとするクラウザーにたいして、根岸弟は「それはクラウザーさんでしょ!!クラウザーさんが殺したんだ!!」と。「たしかに裏では自分が動かしたのだが、表向きは明智光秀と言う事になっている」と教えながら心の中で「俊くん(弟の名)こんなにバカだったんだ」と呆れる根岸くん。
一事が万事こんな調子で、おばかなんだけどどこかこの根岸君の自虐的な苦しみに、読んでるこっちも胸が切なくなるマンガですね(え?)。
ナルミさん愛してるその他の短篇/山川 直人
![]() | ナルミさん愛してるその他の短篇 山川 直人 エンターブレイン 2007-04-25 by G-Tools |
「おねえちゃん」
「コートと青空」
「ふたりぐらし」
という3篇の短編が最初にありまして、タイトルの「ナルミさん愛してる」という短編全35話からなる物語がメインの本です。
山川直人さんと言う漫画家はお初でした。
版画風のちょっと可愛い絵柄の、ちょっと癖はあるけれどやさしい絵柄のマンガを描かれます。
でも、やさしいのは絵柄だけではなく物語り自体がやさしいです。
「ナルミさん」では、主人公はナルミさんを愛している、ぬいぐるみの「ドミノ」の視点で物語が進みます。
ドミノの目に映るナルミさんはとっても清楚でマジメで、きちんとした女性。たかがぬいぐるみのドミノをとっても大事にしてくれて、そして何かというと語りかけて、本当のペットか友達のように接しています。
ナルミさんの何気ない日常が淡々と描かれている、それだけと言えばそれだけ。でも、それを読んでいるだけで心がほっこりするのです。
ドミノがどれだけ深くナルミさんを愛しているか・・・
それが本当にわかってくるのは、最後の方なんですが、そのときには・・・泣けます!
あとがきには著者山川さんのコメントが。
これがまたジーンとするコメント。
ドミノも山川さんもナルミさんにぞっこん。
こんな女性がいて欲しい、理想の女性と言うわけですかね(^^)。
でも、ナルミさんはこっちが「ちょっと見習った方が良いかも」と、おなじ女性として素直に思わせられる、素敵な女性でした。
金魚屋古書店 (5)/芳崎 せいむ
![]() | 金魚屋古書店 5 (5) 芳崎 せいむ 小学館 2007-05-30 by G-Tools |
今日は七月一日、こちらでは圧倒的な購読者数を誇る(?)中日新聞に今日から「ちびまるこちゃん」の4コマ漫画の連載が始まりました。
今日は初日だったから?オールカラーと言う豪華さ。毎日の連載は大変だろうけど、読者はうれしいですね!ちなみに、今日は人物紹介かな。おねえちゃんの名前がさきこちゃんというのは知っていたけど、おばあちゃんの名前がこたけさんとは知らなかった。
さて、「金魚屋古書店」の5巻、斯波ちゃんがついに就職を!!
●漫画のない国・2
菜月の父親はかの鏑木清太郎の息子に生まれて、物心ついたときから漫画の中で生きてきた。そのため逆に拒否反応を起こして漫画が大嫌いになってしまった人なのです。
斯波ちゃんはそんな菜月父に「菜月さんをください」と申し込みに行ったのです。が「ドーベルマン刑事」と「おやこ刑事」の区別がつくようなやつは嫌い!と言う理由で却下。
しかし、父は斯波にある条件を出し、クリアできたら認めてやると言ったのです!!(菜月の気持ちは無視しまくり)
その条件とは、自分の会社で1日きっちり勤め上げる事!
案外簡単そうなその条件には、大きな落とし穴があったのです。
それは、漫画のキライな菜月父(社長)の意思により、会社の中では漫画を読むことも見ることも、そして漫画の話題を出す事も厳しく禁じられているのでした。そんな中で漫画王の斯波ちゃんが一日がんばれると言うのか?否、否、それを見越して菜月父はその条件を出したのです。
新聞の4コマ漫画さえも切り取って捨ててしまうと言う、漫画の徹底排除。禁断症状にあえぐ斯波ちゃん、どうする??
+++++++
「金魚屋古書店」には「金魚屋古書店雑記帳」と言う、巻末お役立ちコラムが収録されてて、これを読むのも楽しみの一つなのですが、今回「新聞漫画」について書かれているのが興味深かったです。
たとえば、毎日新聞に連載されていた「まっぴら君」は1954年から2001年まで、なんと47年間も連載されていたらしいけど、これは「こち亀」も真っ青な長さだそうです。読売新聞の「サンワリ君」も66年から04年までの38年だそうで。すごい!
あと、手塚治虫大先生も新聞漫画がデビューだったんですって。画家の東郷青児さんも新聞漫画を描いていらしたそうです。
わたしが読んできたのは朝日新聞と中日新聞なのですが、朝日新聞では「サザエさん」を一時期連載していました。読むのが楽しみだった記憶があります。で、新聞の切抜きを台紙に貼り付け、手作りの「単行本」とまでは行かなかったけど、まとめて読める代物を作った事もあります。友達に貸してあげたら、その家のお母さんにゴミと間違われて、捨てられてしまったのが、当時は悲しかったけどお母さんから見たら、ゴミにしか見えないほどみすぼらしい代物だったのですね(^^ゞ
で、ここで冒頭の話題「ちびまるこちゃん」新聞連載のはなしに戻りますが(回りくどくてすみません)、思わず「毎日切り抜いてスクラップしていこうかしら」と思ったのでした。
でも良く考えればそんなことしなくても、きっと単行本が出るよね。それを買えば良い話です。
「新聞漫画」と「切り抜き」と「金魚屋古書店」が結びつき、記事アップになりましたとさ。
ちなみに今回「金魚屋」5巻の内容は↓
海街diary/吉田 秋生
![]() | 海街diary 1 蝉時雨のやむ頃 吉田 秋生 小学館 2007-04-26 by G-Tools |
「吉祥天女」が映画化で話題の吉田秋生さんの、最近のマンガ、本のSNSで話題になっていたので読みました。
読み終えたとき、胸が暖まるようなほっこりとするような、それでいて清々しく爽やかで・・・。地味な物語なんですけどね。
●蝉時雨のやむ頃
物語は、三姉妹のところに、父親の訃報が入るところから。
父親と言っても、ずいぶん前に娘たちを捨てて、女性のもとへ行ってしまった父親なのです。
看護師の長女、幸は夜勤があるからと二女の佳乃と三女の千佳に、葬儀に出席するように言う。そして父親の終の棲家となった山形についたとき、ふたりを迎えに来ていたのは異母妹にあたる、すずという少女だったのです。
自分たちを置いて女の所に行った父親にたいして、彼女たちは当然良い印象を持ってなくて、また思い出も少なく、死んだからと言われても悲しくないし涙も出ない。その町で人に好かれていたらしい父親だけど、いくら好かれていたとしても、自分たちはその父親に捨てられたのだと思う佳乃。気持ちが伝わってきます。
でも、そんな彼女たちが父親の死を心から悼む事ができたのは、異母妹のすずのお陰だったのです。
すずの一番好きな場所が、父親の好きな場所でありそしてそこから見える風景は・・・。なんとなく「耳をすませば(ジブリ作品のほう)」を髣髴とさせるその風景が、読者のこころにも染み入るようなのです。父親の死を悲しむ姉妹たちに、「よかったね。お父さんの死を悲しんであげられて」と言う気持ちに。
結局、すずはこの3姉妹と今後ともに暮らすことになります。その顛末で、さち姉さんが大好きになりました!
●佐助の狐
やってきました、すずちゃん。「妹なんだから『ちゃん』はつけないよ」と、呼び捨てにするさち姉さん、やっぱり良いです!(自分が三姉妹の長女なんで、どの物語を読んでもやたら「長女」に肩入れしてしまうわたし(^^ゞ)。徐々にこの家に慣れて行くすずのものがたりでもあり、佳乃の恋人の正体は・・・と言う物語でもあり。
彼女たちが住んでいる家がすごく良い感じなんです。古い日本家屋なんですけど。玄関に行くまでに、竹の柵でできた壁のある長い通路があって(引越しのトラックは、玄関まで行けない)障子があり畳があり、ちゃぶだいがあって。床下には手作りの梅酒、その梅は庭にある梅の木からとれたもので。
そんな家に迎えられ喜んでいるすずちゃんに、幸せになってもらいたいモンです。
佳乃の恋人の正体が分かる顛末も面白い。
「あたりまえだと思ってることは案外あたりまえじゃないのかも知れない」多分きっとそうなんだろうな。
●二階堂の鬼
すずちゃんは地元のサッカーチームに入ることに。
あっという間にチームに溶け込むすずですが、入れ替わるように怪我から入院してしまったチームメイトがいます。
実はその子は、単なる怪我での入院ではなく・・・。
これ、かなり切ない話でした。
中学生だけどしっかりと前を見ている彼らが可愛くて可愛くて。
月間floursで連載中です。8月号は6月28日ごろ発売と帯に書いてあるので、もう出ているのかな?次も楽しみです。
天才柳沢教授の生活 (25)/山下 和美
![]() | 天才柳沢教授の生活 25 (25) 山下 和美 講談社 2007-05-23 by G-Tools |
「天才柳沢教授の生活」、3年ぶりに新刊が出たそうです。これ、面白いですよね。全部読んでるわけではないけど、読むたびに感心させられます。時々ジーンとしたり・・・。「不思議な少年」もいいのですが、どっちも好き!
25巻には第177話〜182話まで
●占いの検証
●大人って何でちゅか?
●教授にとっての罪と罰
●WILD BOY
●校庭を見ていた少年
●プリティな脅迫
が収録されています。
●占いの検証
朝のテレビ番組中の「今日の占い」に一喜一憂する家族(妻と娘)を見て不思議に思う教授。「彼女たちはその占いが当たったかどうかなど、夜になると考えもしない。何故検証もしないで信じようとするのか」と。そして占いの導くとおりに行動してみよう(検証)と実行するのだが・・・。
・教授らしくて、でも、ほのぼのした感じ!
●大人って何でちゅか?
華子に「大人ってなんでちゅか。」と問われた教授。散歩をしながら華子に語ったのは、論理的な頭脳があれば大人である、と思っていた昔の自分。教授のお父さんが、そんな子供時代の教授に見せたものは・・・。
・教授の子供時代が興味深い!
●教授にとっての罪と罰
ひきこもり気味の学生が教授に半年間欠席したのはなぜか、と訊かれて「なんとなく」と答える。教授は「なんとなく」と言う答えが納得できず、その理由を探そうとする。そして浮かび上がるのは、その学生とその父との確執。。。
・今回これが一番感動した。父と子モノってツボ。
●WILD BOY
最近頻繁にエサをねだる猫のタマ。お母さんは充分にえさをやっているので飢えているはずがないというのだけれど、教授には飢えているとしか見えない。そこでタマを観察して教授が見たものは??
・がんばれ、タマ!!(笑)
●校庭を見ていた少年
小学校時代、先生すら一目置く当時の教授を「そんなに頭が良いとは思えない」と言ってのけた同級生がいる。その同級生はいつも窓の外を見ていた。一見ぼーっと眺めているように見えたが、彼の頭の中は・・・。そしてその同級生と50年ぶりの邂逅で・・・。
・興味を持つって素晴らしい。
●プリティな脅迫
ケータイメールを始めた教授。学生や家族から受け取るメールの一つ一つにじっくりと向き合う。デコメや顔文字の一つ一つをじっくりと解読しようとする。メールのみのコミュニケーションに頼れば、失敗する事もあることを発見した教授が打ったのは・・・。
・最後のお母さんと節子の顔・・・!(爆)
あさみさんにお借りしました。ありがとうございました!
![]() | 天才柳沢教授の生活 第1期 全8巻セット 山下 和美 講談社 2002-11 by G-Tools |
![]() | 不思議な少年 (5) 山下 和美 講談社 2006-07-21 by G-Tools |


















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