2007年04月26日
![]() | not simple オノ ナツメ 小学館 2006-10-30 by G-Tools |
オノ・ナツメさんの「not simple」です。
表紙がすごく可愛いです。寂しげな道に佇む寂しそうな少年の姿。
これは読めば分かるんですが、この物語を象徴している表紙なので、読んだ後この表紙を見てみると胸キュン!です。
浮浪者に間違えられて、ある「おとり」にされてしまうイアン。
アイリーンは恋人と駆け落ちの約束をしたが、父親にばれてしまった。アイリーンの父親はその筋のヤバそうなひとで、アイリーンの恋人を殺すぐらいは本当にやりそう。そこで、アイリーンは恋人の代わりになる浮浪者を見つける。すぐ傍にいたその浮浪者をお店に連れ込み、ご飯を食べさせたりして、デートを装い、彼を父親たちに彼氏に勘違いさせようと言う計画だ。
そして店でその浮浪者イアンから話を聞いて見ると、なんとその浮浪者は、アイリーンの叔母が3年前に同じ場所でであった男で、叔母はその男イアンに恋をして、イアンもまたアイリーンの叔母のジェニーに恋をしたと言う話なのだ。イアンは3年後にそこで落ち合う約束をして分かれたジェニーと、再会するためにここにいたのだ。
しかし、アイリーンが、おばのジェニーは死んでしまったと、イアンに言う。イアンは失意のうちにアイリーンの父親が差し向けた殺し屋に殺されてしまう・・・。傍には友達らしき男がいてイアンはその男に「彼女は死んだんだって」と、虫の息で伝える。彼女が死んだのなら自分にはもう生きる望みは無いというのだ。
が、そこに来たアイリーンからは衝撃の真実が語られる。その真実は、イアンをもっと不幸のどん底におとすものだった。それは「実はジェニーは、アイリーンの母だった」というもの。イアンの思い人は生きていたのだ。傍にいる友達は「こいつのことを本にする」と言う。
イアンの「ツキのまったく無い人生」とはどんな人生なのか・・・。
切ない物語が展開するのです・・・。
このイアン、イアンの姉カイリ、その恋人、そしてその友人ジム、ジムとイアン、イアンとアイリーンの母親・・・。この連鎖!!!
イアンは本当に不幸な人生だったけど、一度だけその不幸から逃れるチャンスがあった。それが最後に語られます。そのときだけ幸せそうなイアンのかお。この笑顔をもっと見たかったと思うと切なく胸が一杯になる。
悲しくて悲しくて切ない物語です。
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2007年03月19日
![]() | リストランテ・パラディーゾ オノ ナツメ 太田出版 2006-05-18 by G-Tools |
LA QUINTA CAMERA~5番目の部屋
さらい屋五葉
のオノ・ナツメさんの大人気作品の「リストランテ・パラディーゾ」です。
リンクしていただいている「つれづれ漫画日記」のライチマン1号さんのレビューとあらすじ紹介が大変面白いので、どうぞ参考になさってください。
こちらです!
この漫画のキーポイントは「紳士萌え」と言う所なんでしょうが、イタリアにはこんな素敵な紳士たちが実在するんでしょうか。
紳士の(というか、老眼初老の男たち)いいところは、なんと言っても「ガツガツ」していない「ゆとりある態度」そして「オンナにやたら優しい」と言う感じでしょうか。
この作品の中には、主人公ニコレッタの心を射止めたクラウディオ(彼は羽海野チカさんのハートも射止めたらしい。わたしもクラウディオが好きですな)のほかにも、小言の多い一見イジワルに見えるルチアーノやスキンヘッドがよく似合う陽気なヴィート、コック姿(制服好き♪)が非常に似合うテオ・・・などなど、みなさん魅力的な紳士ばかりがおそろいです。
この中で、主人公のニコレッタがクラウディオに恋をして、クラウディオや他の紳士たちとのかかわりの中で少しずつ成長して、ついには不肖の母親と理解しあい絆を取り戻し関係をあらたに築き上げてゆくと言う物語です。か?
おじ様たちの素敵なのも読みどころの一つだけどわたしはこの母と娘の関係をじっくりと味わって読みました。
自分だったら、子どもよりも好きな相手をとるということは絶対にないような気がしますが、人生何があるかわからんので(笑)。でも、やっぱり褒められた行動じゃないですね。
ただ、再会してからの母親の娘に対するキモチや行動は、素敵だなぁと思う。やたら母親面したりせずに、クラウディオとの年齢差恋愛を否定する事もなく、ちゃんと親身になってる。やがては娘も母親を理解してゆくのだけどその過程がすごく自然に描かれてて面白かった!
これを日本人で描いても説得力がないからね。この雰囲気。独特の空気を描けるオノさん、人気が高いのも頷けるって言うものですね。
でも、個人的には「五番目の部屋」のほうが好きかな。
まったく余談ですが
2007年03月19日
![]() | さらい屋五葉 1 (1) オノ ナツメ 小学館 2006-07-28 by G-Tools |
LA QUINTA CAMERA~5番目の部屋がとってもツボだったオノ・ナツメさんの、今度は和モノ作品です。
和モノでミステリー。
さらい屋・・・ようするに、人さらいです。
用心棒で生計を立てている浪人の秋津政之助。
しかしあまりにも頼りないので、仕事をクビに。
途方に暮れる秋津の前に現れたのが謎の町人、弥一。
悠々とした見事な態度に、いつもおどおどしている秋津は憧れ、用心棒を引き受けるがその正体は、さらい屋だった・・・。
正義に反する事が出来ない秋津、いつの間にか巻き込まれ知らないとは言え人さらいの片棒を担いでしまった。激しく後悔するのですが、実はその「人さらい」には事情があったのです。
五葉というのは、その犯罪グループの名称。
メンバーは、弥一、おたけ、梅、ご隠居、松。
で、そこにこの政之助が入るか入らないかというところですが、弥一が政を気に入り引き入れたいと。政はもともと心根の優しい男で、かどわかしの対象にも同情してしまう。不向きなのではないか?
でも、この弥一がかなりミステリアスな存在でひきつけられますね。カッコええ♪あと、松や梅なども、魅力的な人物で目が離せませんな。
そこに謎の浪人八木。やたらと政にかまうのです。なぜ?どう言う絡みになってくるのか気になるところ。
政にもお金が必要な「事情」があると。郷里の弟と関係があるらしいのだけど、その内容はまだ分かりません。
次がまた読みたくなる、心惹かれる展開です。
2007年02月13日
![]() | LA QUINTA CAMERA~5番目の部屋 オノ ナツメ 小学館 2006-07-28 by G-Tools |
オノ・ナツメさんってお初です。
軽妙で味わいのある不思議なタッチのイラスト風の絵柄で、淡々ととあるアパート(というか、普通の家に下宿人を置いている)の人々の生活を描いています。
マッシモがこの家の主。
同居人は、気障でちょっとクセのあるチェレ、
陰気に感じるぐらい物静かなアル、
街頭で笛を吹いたりしているルーカ
この4人の住人に、あるときは海外からの留学生であるシャルロット、日本からはアキーオ(秋雄)、またあるときはフライドポテト好きのアメリカ人、そして最後の受け入れは81歳の学生ブルック。
彼らが織り成す物語がしみじみと心に迫ります。
大きなドラマティックな出来事は無いけど、誰かが誰かを大切に思いながら気持ちよく暮らしている彼らの姿がとっても心地よいです。
わたしもこんな所に住みたいと、思わずにはいられないです。
最初はシャルロットは手違いでこのマッシモの家に来てしまったんだけど、その前に街で偶然ルーカたちと知り合っていて、すんなりなじんでしまうのです。その後はこの家を離れて暮らし始めたようだけど、マッシモの経営するバール(立ち飲みカフェのような所らしい)で働き、みんなとの縁は切れず良い付き合いを・・・。
そのうちに、だんだんとアルに惹かれてゆき、バツイチだというアルの事情を知り(子どもがほしかったアルに対し、元妻は子どもは要らないというので、それが元で別れたのに、元妻はさっさと再婚してその男の子どもを生んでいた)傷つくアルに「わたしが子どもを生んであげる!」と大胆告白をしてしまいます。
マッシモが下宿を解散する決意をしたのは、マッシモの恋人のアンナが妊娠したから。二人は結婚して一緒に暮らす事にしたからです。
でも、マッシモはみんなとの生活が捨てがたく、解散によってルーカとチェレが街を離れると知りとっても落ち込んでしまう。それをまたみんなで慰めるのだけど、このあたりの暖かさはウルウルとしてしまいます。離れていてもみんな友達、そして、子どもが生まれたらきっと飛んで来るし、アルとシャルロットが結婚しても絶対に飛んでくると言うその言葉がまた、暖かい。
最後の受け入れとなった学生は81歳のブルックでしたが、彼女がすごくとぼけた感じのおばさんで笑えました。でも、彼女は実はハリウッドノシナリオライターで、この下宿屋の話をいつか必ず映画にするというのです。
きっと良い映画になるでしょう・・・。
番外編では、アルがこの下宿に来る事になったいきさつや、みんながいないマッシモの家で一人寂しく正月を迎えるアキーオや、アキーオが作るお雑煮をみんなで食べる話など、良い余韻が残ります。
素敵な一冊。おススメです!
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