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海街diary 2巻/吉田秋生

2009年03月25日
4091670377海街diary 2 (2) (フラワーコミックス)
吉田 秋生
小学館 2008-10-10

by G-Tools


蝉時雨のやむ頃」に続き、「海街diary」の2巻です。
とくに大きなドラマがあるわけではない、淡々とした日常の中に、人と人の結びつきの大切さをさり気ないカンジで描いてある秀作シリーズ。地に着いたカンジのリアルな風景や住まいがともかく心地よく描かれていて、地味だけど印象的な作品です。ベテランの安定感を味わわせてくれますね。

●花底蛇 (かていのじゃ)
よっちゃん(二女)の元彼の正体が気になるすずの物語。「花底蛇」とは中国の故事で、「美しい花の下に蛇のような危険なものが潜んでいる」と言う意味らしいです。
古い日本家屋、引き戸の玄関、飛び石、ご飯の時はお膳を立てる、ご飯の前にお仏壇にお仏飯をお供えする、梅の木に炭から作る消毒液をかけて毛虫を撃退、、、そういう今ではノスタルジックでさえある描写が一こま一こま丁寧に描かれているので、見ているだけでも感心してしまいます。
いろんな人の生きかたに触れて、少しずつ人は大人になっていくのかもしれません。

●二人静
男子との体格差が表れ始め、サッカーを続ける事に不安を感じるすず。足を切断したエースの裕也や、裕也に片思いのGKの美帆、すずを好きな風太など、ワカモノの気持ちが眩しい物語です。
この子達を見ていると、ちょっと「耳をすませば」を思い出したりしますよ(^^)。
幸姉の不倫に気付きかけて、心がざわつくすず。どうする?

●桜の花の満開の下
裕也が学校に戻ってきます。サッカー部にも。義足なのでうまく行かなくて苦しむ裕也と、見守るしかない仲間達の物語。すずと裕也には他者の入れない共通する世界観を持ってる。穏やかじゃない風太ですが、満開の桜のトンネルを自転車の二人乗りなんて、すごく青春で・・・おばさんはただ憧れますね~(笑)。

●真昼の月
昼間にも月は出ています。空が明るく気付きにくいだけで。夜にしか見られない月を、昼にも見られることを「得した気分」というすずの感性が瑞々しい。
おばあちゃんの七回忌の法事に、母親がやってくると言う。家族を捨てた母親を許せない幸は以前にも母親とバトルになったようですが、今回はどうなるやら・・?
このお母さん、結構イラッときました。長女の幸が姉妹のなかで一番母親を憎んでいるようなところも、すごく分かる。ちなみに、幸は今は不倫しているようですが、長子はハメをはずせないところがあるので、多分キッパリやめることが出来ると思う。そしてそのきっかけになるのが「あのひと」なんじゃないかな?などと、今回はすずと幸中心の「海街diary」ですが、姉妹みんなを遠くから見守りたいと思いました。

くままさんにお借りしました。ありがとうございました(^^)。

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[や・ら・わ行のマンガ家]吉田秋生 | Comments(4) | Trackback(0)

海街diary/吉田 秋生

2007年06月29日
4091670253海街diary 1 蝉時雨のやむ頃
吉田 秋生
小学館 2007-04-26

by G-Tools


「吉祥天女」が映画化で話題の吉田秋生さんの、最近のマンガ、本のSNSで話題になっていたので読みました。
読み終えたとき、胸が暖まるようなほっこりとするような、それでいて清々しく爽やかで・・・。地味な物語なんですけどね。

●蝉時雨のやむ頃

物語は、三姉妹のところに、父親の訃報が入るところから。
父親と言っても、ずいぶん前に娘たちを捨てて、女性のもとへ行ってしまった父親なのです。
看護師の長女、幸は夜勤があるからと二女の佳乃と三女の千佳に、葬儀に出席するように言う。そして父親の終の棲家となった山形についたとき、ふたりを迎えに来ていたのは異母妹にあたる、すずという少女だったのです。

自分たちを置いて女の所に行った父親にたいして、彼女たちは当然良い印象を持ってなくて、また思い出も少なく、死んだからと言われても悲しくないし涙も出ない。その町で人に好かれていたらしい父親だけど、いくら好かれていたとしても、自分たちはその父親に捨てられたのだと思う佳乃。気持ちが伝わってきます。
でも、そんな彼女たちが父親の死を心から悼む事ができたのは、異母妹のすずのお陰だったのです。
すずの一番好きな場所が、父親の好きな場所でありそしてそこから見える風景は・・・。なんとなく「耳をすませば(ジブリ作品のほう)」を髣髴とさせるその風景が、読者のこころにも染み入るようなのです。父親の死を悲しむ姉妹たちに、「よかったね。お父さんの死を悲しんであげられて」と言う気持ちに。
結局、すずはこの3姉妹と今後ともに暮らすことになります。その顛末で、さち姉さんが大好きになりました!

●佐助の狐

やってきました、すずちゃん。「妹なんだから『ちゃん』はつけないよ」と、呼び捨てにするさち姉さん、やっぱり良いです!(自分が三姉妹の長女なんで、どの物語を読んでもやたら「長女」に肩入れしてしまうわたし(^^ゞ)。徐々にこの家に慣れて行くすずのものがたりでもあり、佳乃の恋人の正体は・・・と言う物語でもあり。
彼女たちが住んでいる家がすごく良い感じなんです。古い日本家屋なんですけど。玄関に行くまでに、竹の柵でできた壁のある長い通路があって(引越しのトラックは、玄関まで行けない)障子があり畳があり、ちゃぶだいがあって。床下には手作りの梅酒、その梅は庭にある梅の木からとれたもので。
そんな家に迎えられ喜んでいるすずちゃんに、幸せになってもらいたいモンです。
佳乃の恋人の正体が分かる顛末も面白い。
「あたりまえだと思ってることは案外あたりまえじゃないのかも知れない」多分きっとそうなんだろうな。

●二階堂の鬼

すずちゃんは地元のサッカーチームに入ることに。
あっという間にチームに溶け込むすずですが、入れ替わるように怪我から入院してしまったチームメイトがいます。
実はその子は、単なる怪我での入院ではなく・・・。

これ、かなり切ない話でした。
中学生だけどしっかりと前を見ている彼らが可愛くて可愛くて。


2巻の感想はこちらです。
4091670377海街diary 2 (2) (フラワーコミックス)
吉田 秋生
小学館 2008-10-10

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