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漫画家の漫画じゃない本

2012年06月25日
ヤマザキマリさんの「望遠 ニッポン見聞録」をご紹介したので、ついでに(と言っては失礼ですが)ほかの、私が呼んだ漫画家さんによるエッセイなどもご紹介します。

まず渡辺やよいさんの「走る!漫画家 漫画原稿流出事件」
4924718599走る!漫画家~漫画原稿流出事件
渡辺 やよい
創出版 2004-05-08

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新聞・TVで取り上げられた「さくら出版漫画原稿流出事件」というのがありまして。
その第一発見者が、著者だったのですね。
顛末を詳細に綴った本です。
(私がこれを読んだのは随分前です。当時の感想をコピペします)


ある日、この漫画家の元にファンから一本のメールが届いた。それは「あなたの原稿がヤフーオークションに出ています」と言うもの。驚きながらもとりあえず自分で落札する渡辺やよい氏。そして、出品者が原稿を「まんだらげ(大手古本屋)」で購入したことを知る。まんだらげにはまだまだ自分の原稿が売られていると知り、原稿を返してくれるように頼んでみるも「警察に盗難届を出して受理されたら、盗品として原稿は返すし、持ち込んだ人間も誰かを教える」とのこと。そこで、警察に駆け込むがこの「盗難届」が、全く受理されない。原稿を取り戻すためにまさに、走る漫画家!!


驚いたのは漫画家には原稿の著作権はあっても、所有権は無いのだ。
大量の漫画の原稿がこうして行方不明になっているらしい。そりゃ、復刊ドットコムでみんなの要請があっても実現もしないというわけ??
そして、この著者渡辺氏。 描いている漫画はエロ漫画、通称レディコミの女王と言われる渡辺氏だがその実生活は実直そのもの、朝は4時に起きて家族が起きるまでの時間で仕事(官能漫画や官能小説の執筆!)そして、家族が保育園や仕事に出かけた後はまたひたすら仕事や犬の世話。夕方からはまた子どもの世話や家事をこなして夜は9時半には眠りにつく。時には剣道を教えている夫のバーベキュー大会にお付き合いして子守りや運転手になったり、時には保育園の他の子どもを母親の迎えが遅い時には預かったり、時には発表会のピアノ演奏をしたり・・・ただでさえ、目が回るような生活をされているのに、その上にこんな事件の中心になって奔走されている。そのパワフルぶりには圧倒された。
「レディコミ漫画家と一緒にそんな活動は出来ない」とか、「あんな原稿まで守らなくてもよいのでは」、などと卑劣な事も言われながらも頑張った渡辺さんに心からの拍手を・・・そして、優しく思いやりのあるご主人と子供さんたちに敬意を表すものである。

+++++++++++

で、結局この件はどうなったんでしょうかね。
気になります。。。。なんか中途半端な感想で申し訳ありません(^_^;)


次にご紹介するのは、池田理代子さんの「ぶってよマゼット」
文庫版では、「47歳の音大生日記」です。
412002900Xぶってよ、マゼット―47歳の音大生日記
池田 理代子
中央公論新社 1999-04

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412204025647歳の音大生日記 (中公文庫)
池田 理代子
中央公論新社 2002-05

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タイトルにあるように、47歳で音大生になって、オペラ歌手に華麗な転身を遂げるまでを綴ったエッセイです。
これもネットを始める前に読んだので、感想を書いてないのですが、とても面白かったです。(どこがどう面白かったの?ときかれたら、ちょっと答えられません(^_^;) 若い子たちに混じって勉強するところとか、たしかご主人とのなれ初めも書かれてたような??日焼け止めを適当に塗ったらムラに日焼けした・・・って言う部分を良く覚えてますが、あんまり本筋と関係ないこういうのが記憶に残っているのは・・・笑)
これまたちゃんとしたご紹介になってなくてごめんなさい(^_^;)


つぎは北原菜莉子さんの「少女マンガ家ぐらし」
表紙の絵がないのですが・・・。
4005002242少女マンガ家ぐらし (岩波ジュニア新書)
北原 菜里子
岩波書店 1993-06-21

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出版社/著者からの内容紹介
だれもが一度はあこがれるマンガ家.でも実際はどんな世界? そんな疑問に,少女誌で活躍中の若手作家がおこたえします.プロになるまでの道のり,マンガ家の日常生活,マンガづくりの極意など,マンガっ子が知りたい少女マンガ界のあれこれを,イラストいっぱいで紹介.プロを目ざす人はもちろん,夢をふくらませたいすべての人に!
内容(「BOOK」データベースより)
だれもが一度はあこがれるマンガ家。でも実際はどんな世界?少女誌で活躍中の若手作家が、プロになるまでの道のり、マンガ家の日常生活、マンガづくりの極意など、マンガっ子が知りたい少女マンガ界のあれこれを、イラストいっぱいで紹介します。プロを目ざす人はもちろん、夢をふくらませたいすべての人に。

これも読んだのは随分前ですが、面白かったですよ。
ときどき、ブロガーさんの感想文を見かけます。ググって見てください。(人任せですみません)


最後は、槙村さとるさんの「イマジンノート」
イマジン・ノート
イマジン・ノート槇村 さとる

集英社 1998-12
売り上げランキング : 824962

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スタイル・ノート (幻冬舎文庫) おとな養成所 3年後のカラダ計画 ふたり歩きの設計図 (集英社文庫) ゆるゆるコツコツ自分改造


これは私のこのブログ内に感想がありますので、リンクします。
山岸凉子さんの「緘黙の底 (しじまのそこ)」の感想とあわせてご覧ください。
イマジンノート
緘黙の底


槙村さんは他にもエッセイたくさん書いてらっしゃるんですね。
また読みたいと思います(*^_^*)
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望遠ニッポン見聞録/ヤマザキマリ

2012年06月25日
4344021509望遠ニッポン見聞録
ヤマザキマリ
幻冬舎 2012-03-09

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「テルマエロマエ」が、原作漫画も映画も大ヒットのヤマザキマリさんのエッセイ。
漫画じゃないけど、こちらでも紹介しますね(*^_^*)


なかなか特異な経歴の持ち主でいらっしゃるなぁ・・・と、「テルマエロマエ」以外のエッセイ漫画を読んだときに思っていたのだけど、やっぱりごく普通に高校へ行って大学へ行ってお勤めして・・みたいな経歴ではない。
17歳にしてお母さんから「油絵をやりたいなら日本を出て海外へ行きなさい」と言われたよう。「日本だけが世界じゃないから」と言うのがお母さんの口癖だったそう。
自分の立場だったら、子どもに「高校だけは卒業して!」と言いこそすれ、「高校なんて行ってないで海外へ行きなさい」なんてことは言えない。すごいお母さんだと思う。
マリさんはそういう、ちょっと「普通」とは違うご家庭で教育を受けられたみたい。こういう言い方が正しいかどうか自信がないですが・・・(^_^;)。
で、それ以後ずっと、基本的に海外で暮らしていらっしゃるようだ。
その辺のエピソードは、著作の「世界の果てでも漫画描き」などに詳しいので、興味のある方はぜひともお読みください。
さて、海外で暮らしている著者が、日本を客観的に見つめて書いたのがこのエッセイ。「テルマエロマエ」はこうして生まれた!見たいな部分もあって大変面白いエッセイである。
印象に残っているのはトイレについて書かれた章。
著者が漫画のための取材で、水周り関係の会社のショールームに行ったとき、最新のトイレに驚愕したとあるが、これはまさしく、「テルマエロマエ」のルシウスの感じた驚愕にほぼ近かったんだろうなぁ・・・と思う。
日本のトイレって言うのは、昔はお化けが出てきそうな「ぼっとん便所」だった。
かく言う私も昔のトイレにはトラウマさえあるほど、あまり良い思いでもなく・・・トイレに落ちたとか、そんな強烈な体験はないんだけど、それでもやっぱり思い出したくもない・・。ウチのトイレが洋式の水洗トイレに変わったとき、どんなに嬉しかったか!!。
著者がそのあたりを端的に表現しているこの章では、まさにそうだそうだとうなりながら読んだものだ。
そのほか、ビールのこと、CMのこと、子どもが遊ぶカードゲームのこと(著者は子どもさんに自作カードで遊ばせたとか)それぞれふむふむと、こちらも日本を客観的に見ながら読むことが出来る面白エッセイだった。
つくづく、漫画家さんは絵も上手くなければいけないけど文章もまた上手いなぁ・・と思ったしだい。
[や・ら・わ行のマンガ家]ヤマザキマリ | Comments(0) | Trackback(0)

坂道のアポロン (9)/小玉 ユキ

2012年06月20日
4091344658坂道のアポロン (9) (フラワーコミックス)
小玉 ユキ
小学館 2012-04-26

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ついに最終巻を迎えた「坂道のアポロン」です。

東京から転向してきて、長崎という土地にも学校にも、同居の親戚にもなじめなかった主人公の薫が、ジャズを通して千太郎や律子と親しくなっていき、自分の居場所を見つけるが・・・青春だもの、色んな紆余曲折があっていったいこの3人はどうなるんだろう?と思わされましたが・・・・、でも結局はこの9巻で、読者は優しい涙を流すことが出来るという。
素敵な物語になりました!(*^_^*)

途中、千太郎の恋した相手、百合香と純一のところが、中途半端な印象だったかなぁ・・(^^ゞ

薫も千太郎も屈折したものを内に抱えていて、そんな二人が「友達」というか「仲間」になっていくところがとても良かったです。でも、屈折ゆえにお互いに頼り切ることが出来ず、分かれてしまいました。あのときの寂しさせつなさ!
成長して、大人になって、その屈折を乗り越えることが出来て、本当に良かった。
ひたすら「良かった、良かった」と思ってしまいました。

小玉さんの描く漫画は本当に優しさが詰まっていますね。
今後も期待しています。(*^_^*)

[か行のマンガ家]小玉ユキ | Comments(0) | Trackback(1)

母がしんどい/田房 永子

2012年06月18日
4404041691母がしんどい
田房 永子
新人物往来社 2012-03-24

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私のもうひとつの、本と映画の感想ブログからの転載です。あしからず。
マンガエッセイなので、こちらにも掲載しますね。


まえがき

まわりから見ると、仲良し親子。
だけど「お母さん大好き!」って思ったことがない。
(こんな私って親不孝?)

何の問題もない、しあわせ家族。
だけど実は、お父さんとしゃべったことがない。
(会話はいつもお母さん越し)

お母さんはいつも「あなたのため」と言ってくれます。
だけどそれって、本当に私のためなの?
(お母さんがやりたいからやってるとしか思えない・・・)

この違和感を相談すると言われること。
「親なんて、そんなもんだよ」
「それを乗り越えるのが大人」

自分が子供なんだ、悪いんだって思ってきた。
(だけど、わたしって本当にそんなに、悪いの?)

うちって「普通」なのに、なんだか「普通」じゃない。
お母さんが重苦しい。

そんな私が、
お母さんから逃げて失敗して、逃げて失敗して
ついに逃げ切るまでのお話です。


なんていうのか、このお母さんは完全に病気なんだと思う。
気分屋と呼ばれる性格の極端に酷い感じ。
一瞬で(3秒でと書いてあるけど)ニコニコしていたのが鬼の形相に変わったり、自分の考えを子どもの気持ちも考えずに、ただひたすら押し付ける。
そして、「押し付けている」と言う意識すらない。
そんなお母さんに育てられた著者が、どのように成長してしまったか・・・そしてどのように解決して、どのように親と断絶して自立したのかを描いた作品です。

とにかく、子ども時代の著者がかわいそうでかわいそうで、不憫で不憫で、読んでて涙が止まらなかったんです。
たとえば遠足のお弁当。
ミネストローネ入りの凝った(と本人は思ってるんだろう)お弁当を作る一方で、水筒にはただの水道水を持たせる。(遠足の間に温まっている)
たとえば子どもが母親にプレゼントしようと、手作りケーキを作ろうとすると、そばで見ていてイライラして爆発。。。子どもは母のためを思っているのに・・・。etc.etc.・・・・。
大人になってからのこともそれはそれで相当~~~~~にキツいけど、やっぱり子ども時代はあまりにもかわいそう~~(涙)。
しかも担任とかにも酷くされて。
もう~~こういうのが先生なんて、許せません!

大人になってからも壮絶すぎる人生です。。。
ここに書くのも憚られるほど、これが親?と思ってしまう。


精神科の医師がこの人に言ったこと、それが大きなきっかけになって、親との断絶を決めるんだけど、やっぱり専門家は違うわ・・と思いました。医師のせりふ「あなたは悪くない」の言葉に、泣けました。

後に著者が自分の両親のことを分析しているんだけど、なるほどなぁと深く納得できます。
そしてよくぞそこまで冷静に親を見ることが出来るようになったと、それもまた感動なのです。

Amazonのカスタマーレビューを見ると、こうした母親に苦しまされた人が多いのに、驚きます。

自分はちゃんと「母親」かなぁ・・・
と思ってしまいました。
こんな親じゃないよね?と子供に確認したいけど、ひょっとして「同じところがあるよ」とか言われたら・・と思うと怖い(^_^;)


著者の田房栄子さんのブログはこちらです。
むだにびっくり
おもしろいタイトルですが、後日談なども書かれており、本書を読んだ人は必読ですよ。
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