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バルバラ異界/萩尾望都

2005年07月11日
バルバラ異界 1 (1)
萩尾 望都
4091670415

バルバラ異界 2 (2)
萩尾 望都
4091670423

度会時夫(わたらいときお)は人の夢の中に入り込んで心の奥まで探り出すことができる「夢前案内人」。
今回の依頼は、7年前の「ある事件」から眠りつづける少女、十条青羽(じゅうじょうあおば)の夢の中に入り込むこと。
その少女、青羽は夢の中で「バルバラ」という名前の島で幸せに暮らしている。
そこで幸せに暮らしているからこそ、目覚めて現実を生きることを少女は拒否しているかのようだった。なぜなら、少女が眠りつづけるきっかけとなった事件とは彼女の両親が惨殺されたと言う事件だから。
それだけではなく、その事件にはもっと恐ろしい事実が潜んでいた。

凄く込み入ったストーリーで、一度さらっと読んだだけでは理解できません。テンポが凄く良くて、あれよあれよと話が進んでいくので付いていけない感じ。
バルバラってのはいったいなんなのだ。青羽の見る夢なのです。でも、現実にいる時夫の息子、キリヤが作り上げた空想の夢の島でもある。
何故この接点のない二人の「夢」がシンクロするのか、それを追っていく話のようなのだが、その中に、もっともっとたくさんの要素が含まれてて、それらがメチャ重いのですよ。
殺人事件、カニバリズム、アレルギー、若返り妙薬、そして親子。
特にキリヤの感じる孤独と絶望。
「世界は自分を捨てて、自分を愛していない、その世界で生きていく苦しさ」を抱えているキリヤは見てて痛々しいです。
また、実際親である時夫が息子キリヤに対して抱く親としての愛情がきちんと伝わってないのです。

2巻では、「夢」と「現実」の境界線が曖昧になってきています。
青羽がキリヤの前に姿をあらわして「火星の海の記憶」なんてのを語ったり。これがなんかキーワードになりそう。「スターレッド」っていう火星の物語も、萩尾さんの作品にあるし。
「夢」の登場人物が現実の世界に現れたり、夢がものすごくリアルになってきていたり。いつか「逆転」するんだろうか??

すっごい難しい話だけど、なんかひきつけられます。

余談だけど、私の妹が伊勢市に住んでおりまして。
この作品の中で「伊勢市」ってかなり重要なポイントなのです。
で、萩尾様が、伊勢市に公演にいらっしゃったことがあるのだけど(妹の夫お店にお食事にいらっしゃったのですよ!!!!)やはりこの作品の関係でいらっしゃったのかな?
なんて、今にして思えば!みたいな、ことを思ったりしたわけです。
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[は行のマンガ家]萩尾望都 | Comments(0) | Trackback(0)
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