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イグアナの娘/萩尾望都

2005年07月12日
イグアナの娘
萩尾 望都
4091913814

とある一家に赤ちゃんが生れます。
しかし、その赤ちゃんは「イグアナ」だったのです!!

というのは、ちょっと違う・・・
赤ちゃんが、母親にだけ何故かイグアナに見える、ということなんです。
写真をとれば母親にも普通の人間の姿に見えるのだけど、醜いイグアナの姿をした娘(にしか見えない娘)を、この母親は愛せません。

そして、間もなく年子?で妹が生れるのだけど、今度は母親にも普通の子供に見える。
なので、母親はこの妹ばかりを可愛がるのだ。それはもう徹底的に差別して育てるのだ。残酷ですよね。
ものすごく残酷な話なのだよね、これ。

長女のリカは母親が、陰で自分を母親が
「ガラパゴスのイグアナ」と言ってるのを聞いて
「いつかガラパゴスに行って本当の両親を捜そう」と思う。
子供を突き放すという虐待が描かれてるんだけど
いつもながら、虐待の描写がなんとなくコミカルで
さらっとしてて重くない。
だけど、だからこそ、リカの気持ちが読者に伝わってきて泣ける泣ける。
そして、親として自分は子供にこういう思いをさせていないと断言できるんだろうか?と思うわけです。
そして、やはり自分の子育てを振り返ってみると
「あの時こうだった、子供に辛く当たってしまった」と、
思い当たる事が山のようにあり、落ち込んでしまうのです。

自分はイグアナだから、恋愛も出来ない、幸せになれないと思い込んでいるリカにも、ちゃんと恋人が出来て、結婚してやっと幸せになるかと思いきや、生まれた我が子が可愛く思えない。
これって、虐待されて育った人は同じことを我が子にしてしまうケースがあるという、アレですよね。
悩むところに母親の訃報。
そして目にした母親の姿は…。
その枕もとで見た夢が、リカの気持ちを浄化させてくれて、やっと本当の意味で幸せになる。

短編なのに、こんなにもインパクトがあり凄い作品は滅多にありません。私は望都作品の中でもかなりこのマンガが好きです。
辛すぎるけどね。

同時収録には同じように「家族」のあり方を描いた問題作揃い。

●カタルシス

浪人中のゆうじが突然家出した。
バイト先の喫茶店のマスターの家に転がり込んだのだ。
母親は理由も聞こうとせずに連れ戻す。
家出を繰り返すゆうじに父親はゆうじの従姉妹で大学で心理学を勉強するともよを「派遣」する。
そこで、ゆうじから聞き出したことは、半年前になくなったゆうじの友達の「死」が関係しているということ。
お葬式に出たかったゆうじを受験があるからと止めた母親。
このままでは親のロボットだと、ゆうじは親の元を離れたがるのだが、どうにも親には理解できない。
これも、「イグアナの娘」と同じように、わが身に置き変えて反省させられるマンガなのです。
「カタルシス」の意味は
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[(ギリシヤ) katharsis]
〔アリストテレスが「詩学」で展開した説。浄化・排泄の意〕
(1)悲劇を見ることによって日頃鬱積(うつせき)している情緒を解放し、それにより精神を浄化すること。
(2)精神分析で、抑圧された感情や体験を言葉や行動として外部に表出して、心の緊張を解消すること。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●午後の日差し

ある朝、ワイドショーの離婚ネタを見ながら夫が言う。
「夫婦なんて結局は他人」
その言葉に無性にショックを受けて、落ち込む賞子。
お料理教室で、新入生の海部と出会う。
そこで、この若い男にトキメキを感じ、ひと時甘い感情に身をゆだねる。
と言う話。
だけど、何もかもリアルなんですよね。
心惹かれてときめいても、大抵の主婦ってその辺の不倫小説のような展開にはならんよね。
だけど、チラッと思うのよね。
「わたしが25歳だったら」
「夫が死んでしまっていたら」
「私がもっと積極的だったら」なんてね。
自分にはこんな事がおきないと、ちゃんとみんな判ってるんですよ。
だからこそ、夢として不倫小説やドラマにはまっちゃうのだよね。
ある意味、ヨ●さまにキャーキャー言ってるおばさまたちだって、私は罪がないなぁと思うよ。
「他人だけど、一番近い他人」それが夫婦。
ということですね。

●学校へ行くクスリ

夏休みが終わり、2学期最初の日
高校一年のかつみには世間の人が「異物」に見える。
もちろん両親も。
学校の同級生も。
でもそんな中で、唯一中川あゆみだけは「人間」に見えるのだ。
しかし、中川の頭には「花が咲いて」いた!!
そしてもう一人、普通の人間に見える甘木。
この3人には、ある関係??があったのだ。

●友人K

雪の日に思い出す、中学時代の同級生のKへの対抗心。

以上5編
短編ながらもどれも濃い内容で、望都さまの偉大さが現れてる一冊だと思うのです。
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[は行のマンガ家]萩尾望都 | Comments(4) | Trackback(1)
Comment
ミリアムさん はじめまして。
拙ブログにようこそ、コメントもありがとうございます(^^)
「イグアナ」は密にわたしのなかで、萩尾作品のトップクラスに並ぶ作品と思ってます。
「ポー」や「トーマ」その他「残酷な神が支配する」(←これは未読)など、名作多数ですが、、、
娘がイグアナに見えるという、極端なデフォルメを通して、子どもを愛せない身勝手な親、、アダルトチルドレンとも言える母親の気持ちと、そのため愛情に飢えた娘が、その逆境をのりこえ強く生きていく姿を見事に描いた短編ですよね。
ミリアムさんのおっしゃるように、短いからこそぴりりと締まった名作と思います。
こんばんは!はじめまして。
萩尾さんって結構残酷な描写があるのに、なぜかあまり重たくならないんですよね。基本的に救いのあるお話だからでしょうか。「イグアナ」のインパクトは、あれだけのページ数だということもあわせて考えるとすごいものですよね。
トミーさん、コメントとトラバありがとうございます!
丁寧なんて恐れ入ります。
わたしは感想を書くのがヘタなのであらすじを詳しく書くことでごまかしております。
てへへ。
トミーさんのブログはピング飛んで着ますので更新されたらいつもチェックさせていただいていますよん♪
わたしも読み逃げでごめんね。
また今年も楽しく漫画を語りましょうね~♪
トラバありがとうございました。
 トラバありがとう御座います。遅れまして、こちらからもトラバさせて頂きました。こんな詳しく書かれていると、私の単なる感想が恥ずかしい・・。
 最近よしながふみさんとかも借りて読んでいるので、他にもいろいろトラバできそうです。ちょっと落ち着いたらさせて下さいね。今年もよろしくお願い申し上げます。

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      TVドラマにもなった、モー様(萩尾 望都)もうひとつの代表作。 私が読んだのは小学館版 PCコミック 1994年7月20日初版のもの もうひとつって、後は何(?)それは人それぞれですけど、短編なのに問題作でしたよね?暮れ前に最寄のブック ○フをふらふら

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