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パイド・パイパー/山岸凉子

2005年06月03日
パイド・パイパー
山岸 凉子
4840108269


●パイドパイパー
●蜃気楼
●負の暗示

の3作品収録。

表題作「パイドパイパー」
夫の転勤(左遷)に付いて、M市に引っ越してきた主人公。
そこは忌まわしい出来事があった街。
主人公の子供時代、妹が変質者に殺されてしまったのだ。
そして、引っ越してきた早々にまたもや同じような事件がこの近くで起きている事を知りおびえる主人公なのだが…。

「海の魚鱗宮」と、ちょっと似ていますが
主人公の夫婦の関係、そしてそれから自分自身の心との対峙など、奥が深いです。
パイドパイパー(ハメルンの笛吹き)って有名なお話しだけど、子どもを呼ぶ声はきっと表面はやさしく、でもその内面は実にエゴイズムにあふれていると言う、解釈がとっても興味深い。
ストーリー全体もサスペンス仕立てになってて、ハラハラして手に汗握ります。
主人公が長年、妹へ罪の意識を持ちながら生きてきたのが痛ましく切ない。

●蜃気楼
幸せな家庭、従順で申し分のない妻、かわいい娘
そして、片方では若く魅力的な愛人。
ふたつを巧くあしらって得意絶頂の主人公の男。
しかし、落とし穴はあるもので…。

おりょーさまには「不倫」ねたも多いんだけど
不倫している女は苦しんでるし、男はそれがステイタス見たいな感じ方をしてるのが多い。
この結末は結構「ざまあ見ろ」って感じ?
奥さんは可哀想だけど、やぱ、許しちゃいかんと思う。

●負の暗示
これは衝撃ですよ。
「八墓村(横溝正史)」のモデルになった、昭和13年の岡山県下で起きた津山大量殺人。「丑三つの村(西村望)」もあります。「夜啼きの森(岩井志麻子)」もあります。どれも、オススメですが。
未読なのが「津山三十人殺し(筑波昭)」「龍臥亭事件(島田荘司)」などがあるようなので、いつか読みたいですね。
作品の参考資料としては「ミステリーの系譜(松本清張)」「犯罪の通路(中野並助)」(どちらも中公文庫)と明記。これも読みたいな。

でも、真実は本人にしかわからないよね、といいつつ凄い説得力なのです。
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[や・ら・わ行のマンガ家]山岸凉子 | Comments(0) | Trackback(0)
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