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わずか1小節のラララ/くらもちふさこ

2005年10月07日
わずか1小節のラララ
くらもち ふさこ
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●わずか5センチのロック…1976年2月
●わずか1/4の冗談…1977年1月
●わずか1小節のラララ…1978年4-5月

「わずか5センチのロック」が1976年の作品で、それ以後シリーズ化した作品。
最初はくらもちさんもこんな作風だったのかって、今読むと少し驚き。
後に「別マの顔」となる片鱗はこの作品ではまだ影をひそめ、古い感じの文学系少女漫画の流れをそのまま引き継いだような感じ。表現とか、絵柄とか。
でも、「わずか1小節のラララ」では、まさにこれから独自のくらもちワールドに突入するぞ!!って言う?

さて、ストーリーは主人公の三輪倫子。
学校のアマチュアバンド「欄丸団」の人気ギタリスト佐藤ちゃんに似てるために、女の子のファンがついてる。でも、陰では「ミスでくのぼう」と中傷されてひそかに傷ついてたりする。
コンプレックスのかたまりの彼女が、佐藤ちゃんの怪我でコンテスト出場が危うくなった欄丸団に、佐藤の影武者として起用されたことからロックバンドの世界に入り、仲間の温かみを感じつつバンドマンとしても女の子としても成長していく物語デス。
それにしても、「ミスでくのぼう」というニックネームがひどい。
くらもちさんはこの作品以外は割と小さい女の子を主人公にしている事が多いけど、この倫子はめずらしく長身なのだ。
「わずか1小節のラララ」では、昔にあこがれた男子(当時中学生)に対する思いが切ない。
ただ一人、倫子を大きいからと言ってバカにしなかった人なのだ。
その手島あいてに詩を暗誦する倫子
「きのうのわたしはおしろいばな きょうのわたしは影もない」
そしてそれを聞いていた他の男子が
「きのうのわたしはでくのぼう きょうのわたしはうどの大木」
と、茶化して馬鹿にする。
そのときの倫子は後姿しか描かれてないのだけど、傷ついた背中の圧倒的な表現力。
印象的な一こまだった。
倫子の涙はそこには描かれてないんだけど、読むほうは泣ける。
でも、手島はフォークダンスに倫子を誘ってくれるのだ。
背の高さが全然違うのに(倫子のほうが高い)。
優しいやん!
こんな思い出のある男子を、そうそう簡単に切り捨てられない。
悩む倫子の気持ちが切ないです。
最後に倫子が選んだのはもちろん欄丸団。
仲間の倫子への捨て身の?信頼が感動的!

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[くらもちふさこ]Review | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
Re: コメントさせいただき失礼いたします
笠井さん、ようこそおこし下さいました。
見つけてくださり、そしてコメントありがとうございます。
自分の記事を読み、物語を思い返していますが、やっぱり面白い物語ですよね。
笠井さんのおっしゃる「ギターが符号ではなくリアルであった」という部分に
ものすごく共感します。
ギターだけでなく、たとえば、お札にしても、ポールハンガーにしても
日常生活の中に登場する、ディティールというのでしょうか、
そういうものをまさに、リアルに描いて見せた最初の少女漫画家じゃないかと思います。
ギターの方は、私はあんまりしらないので、今日はじめて「やはりそうでしたか!」と
瞠目させられる気分でした!
すごく腑に落ちるご指摘で、すっきりしました。
ありがとうございました!
コメントさせいただき失礼いたします
このまんがは、非常に面白かった記憶があります。
ちょうど私がバンドをはじめたころで、くらもちさんの描かれる楽器はいわゆる漫画の中の楽器という「符号」ではなくリアルであったことが印象的でした。
蘭丸団の佐藤ちゃんのストラトはまちがいなくレオ・フェンダーのデザインしたアレでした。
「わずか1小節の‥」で検索しこちらのブログ「を拝見することができました。
よいまんがだったと今でも思っております。

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