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生きててよかった!/池田理代子

2005年09月20日
この作品は「桜京」の2巻の巻末に同時収録されている作品です。

主人公は小学6年生の高見泰樹
クラスの委員長と生徒会長をかけもつ少年だけど
けっしてうらなりや優等生タイプではなく
信念のために喧嘩もしちゃう、先生にも怒られちゃう
とっても親しみやすいスーパー男子だ!!

ところが、この泰樹の母親が交通事故で突然死んでしまう。
(親が突然死ぬって言うパターンが…)
泰樹はそのときまで知らなかったのだけど
泰樹の母親は「おとうさん」の「めかけ」だったのだ。
母親が死んでしまった泰樹は当然のごとく
父親に引き取られて行くのだけど

何もかもが初耳の泰樹には
父親が違う場所に家を持っていることも
自分と苗字が違うことも
おとうさんに別の「家族」がいることも
何もかもが晴天霹靂の驚きなのだ。

で、これからが試練本番なんだけど
おとうさんの本当の奥さんは、初めて明らかになった事態に
ちょっとしたパニックと拒否反応を起こしていて
ヒステリー状態。虐待が始まるのだ。
それでも何とか学校には行けることに…。
持ち前の優秀さを発揮して、クラスでも瞬く間にトップに。
好きな女の子も出来て、級友も出来学校では順調。
それに担任の先生が、死んだ母親に似て何くれとなく
優しくしてくれる。
何もかもわけを知りながら
影で支えてくれるのが救いではあったが
泰樹にも幼いなりにもプライドがあったり
親父の鬼嫁に阻まれたりして中々決定的な救いの手を
差し出せないのがもどかしい。

今では虐待防止法なんてのもあって
こういう場合は何とかなりそうなんだけど
当時は
「部外者は黙ってろ」って言われたら
何も出来なかったのかな。

修学旅行にも行かせてもらえず給食費も払えない泰樹は
(それどころか、ご飯もろくろくもらえないので、母親の形見のカメラを売って、飢えを凌いでいるのだ!!)
父親の会社に行って直接お金をもらうことを思いつく。
しかし!!なんと!!
なんと
泰樹の親父は、泰樹に会おうともせず門前払い??
しかも
「うちには男の子はいない。女の子だけだ」
と、受付嬢から伝えさせる。なんと残酷な。
会おうともしないばかりでなく電話にも出ず、あまつさえ、その存在をも否定する。

こいつが
こいつがすべての元凶ではないか!!
「パパだけはぼくの味方だと思っていたのに
ちゃんと奥さんがいるのに勝手にぼくを生ませておいて
つごうが悪くなったらぼろきれみたいに捨てるのかい
パパ・・・・!!」
そのとおりだ!!

家に帰ってもそのことで、親父と鬼は喧嘩している。
そのうえ、その家の長女の縁談が、このことが原因で破談に。
それも、泰樹のせいにされてまた折檻。

「ぼくにどうしろというんです
 あなたがたはぼくに八つ当たりを
 しているだけじゃないか」

まったくそのとおりだ!!
と、こっちが叫んでもやつらの耳には届かず…(涙)
ついに泰樹は嵐の中、柱に縛り付けられてしまう。

いっそ死にたい
お母さんのもとへ行きたい

そう思い必死に縄を解いたのであろう
泰樹は雨の中をふらふらと歩きついに行き倒れてしまう。
それを拾ってくれたのは、泰樹のクラスメートであり初恋の相手、川部圭子と父親(医者)だった。
すべての事情を知った川部親子は、親父の家の鬼嫁に電話をする。

しかし、鬼嫁は反省するどころか
「それならそちらで引き取ってください
施設に入れようと思っていたんですから」
と開き直り…。
その電話の様子を聞いてしまった泰樹は

「生まれてこなければ良かった…」

「今まで生きてて損しちゃった…
 損しちゃったよーーー!!」

と嘆くのだ。
そしてついに戸棚から薬品を盗み出し自殺してしまう!!
(薬品の管理は??)

一命を取り留めた泰樹だが
「なぜ死なせてくれなかったんだ
死んじゃったほうがいいんだ
あなたにとめる権利があるのか
もっと苦しめと言うのか」
と逆に川部を責める。

そこで、川部は泰樹の頬を思い切り打ちながら
言うのだけど、このせりふがまた泣かせるんだ!!
いいせりふなので全文掲載。

「あいにくだが私は医者だ!
良く覚えて置きたまえ!
いかなる人間と言えども
天から授かった命を自らの手で縮める権利など
絶対ないんだ!
人間はそこまでえらくなんかないんだぞ!
そして…
そしてその生命を 真の終わりのときまで
守って生かすのが われわれ医者の務めなんだ!
いいか…
真のおわりのときまで…
…だよ…」

その言葉と、頬の痛みを暖かく感じたところに担任の先生が飛び込んできて「私たちもあなたを愛しているのに生きていくことは出来ないのか」と涙ながらに訴える。

そこへやっと親父登場。
「い…生きていてくくれた…か…」
と、安堵する顔を見て泰樹はもう一度生きる決心を
するのだった…。

と、長くなりましたがこれがあらましです。

ともかく、こんな親父に何でほれた?泰樹のかーちゃん。
その一言に尽きますよ。
親父の鬼嫁、鬼嫁って書いたけど、おなじ立場として気持ちはわからんでもないよね。
泰樹が鬼嫁に向かって「あなたはイジワルだ。だからおとうさんはうちのママを好きになったんだ」と言うところがあるんだけど
あちゃー。ッて感じだよね。
それは夫婦にしかわからない何かがあるんだよ。きっと。
かばうわけじゃないけど、とも思ったり。

継子を虐待すると言うと「花ぶらんこゆれて」を思い出すけど、どっちにしろ、父親が情けなーい。
「桜京」も、ちょっと似た設定部分があるんだけど、ドロドロ感がまるでないのね。
あちらの「負」の部分をこの「生きててよかった!」につぎ込んだッ弖感じかな~と、思った次第。
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[あ行のマンガ家]池田理代子 | Comments(4) | Trackback(1)
Comment
>赤池功さんいらっしゃいませ♪
ものすっごく濃い内容の物語で、いま昼ドラマにしたら結構当たるのじゃないかと言う気がします。
ふくべの話は覚えていませんが、服部は「はっとり」とも「ふくべ」とも読むのじゃないでしょうか?
こう言う、いわゆるベタな物語は、私の世代には懐かしいし、今読んでも面白いですね♪
はじめて読んだのが小学校の時。『さて今日は泣くかな』とおもうとくりかえしよんでました。今日オリオン書房で検索してもらったら既に廃刊に成ってるとの事『残念』
話の中で運動会のシーンがあり係の放送で服部あ(はっとり)さんをふくべと呼ぶシーンがあったのをおぼえています
いらっしゃいませ♪
れいさん、こんにちは♪お返事遅れてゴメンナサイ。このブログ、時々とても重くないですか?ご迷惑かけますね。すみません^^;
ちらっとれいさんのレビュー見たのですけど、とっても丁寧ですばらしかったです♪
私のよりもずっと♪
TBありがとうございました!!
こちらからも後ほど、TBさせてくださいね~~♪
こんにちは(^^)
以前「桜京」にコメントさせていただきました者です。
私も感想書きましたので2件TBさせていただきました。
(しょーとさんほど詳しくレビューで来てませんかが^-^;)
「桜京」も「生きててよかった」もいい作品で好きです。

この頃の理代子先生の作品ってモチーフが結構かぶってますよね(笑)

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理代子さんの作品には珍しく、男の子が主人公に設定されています。しかもとっても魅力的!でも内容は壮絶な人間物語です。理代子作品にこれからも多く取り上げられる「正妻と妾」「嫡

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