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あすなろ坂/里中満智子

2006年09月02日
B00007CGMFあすなろ坂 [文庫版:コミックセット]
里中満智子
講談社

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4062604280あすなろ坂 (1)
里中 満智子
講談社 1998-08

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4062604299あすなろ坂 (2)
里中 満智子
講談社 1998-08

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1972年から1978年まで講談社の月刊ミミにて連載された大河ロマンです。


幕末から昭和の敗戦まで、有馬芙美という名の1人の女性の波乱万丈な生涯を描きますが、その子々孫々、ひ孫の代まで主人公の血を引く女たちはみんなが波乱万丈な人生を送るんです。
視点を、主人公からその子どもたちへ、そしてまたその子どもたちの代へと移し変え、彼女たちが愛を貫きとおす様をドッラマティックに描いてあるんだけど、なぜかみんながみんなこっちの思うような相手と結ばれてくれない。ちょっとじれったいのだけど、それだからこそ真実味と迫力ある愛のドラマに仕上がっていると言えるでしょう。いかにも里中さんらしいストレートでダイナミックな大河ロマンですね。
そして、女達の生き様をいつもあすなろの木が見守っていると言う。
あすなろというと、井上靖氏の「あすなろ物語」なんかも髣髴としますが、ここでも「明日は桧になろう」としてなれない木だと説明されています。
しかし、この主人公たち(有馬家の女たち)の中で、ただひとり、詩絵という、芙美から言えば孫に当たる彼女が言います。
「ひのきじゃないのにひのきになりたがるなんておろかだわ
 あすなろはあすなろでいいじゃない
 そのかわり『ひのきよりいい木だ』と自分で思いこめばいいのに」
と。
この言葉が示すとおり情熱的な人生を送る詩絵です。

主人公は、芙美ですが、かのじょは幕末の戊辰戦争から、日進戦争、日露戦争、第一次世界大戦、太平洋戦争となんと5つの戦争、そして関東大震災を生き延びてきます。
長く生きると幸せもあるだろうけど、これでは哀しいことのほうが多い人生ともいえるのかも。
夫の死はとうの昔、孫のひとりが溺れ死に、そのために息子新之助の家庭がひび割れてくる。
娘も戦争、ファシズムの犠牲となって死んでしまうし、その孫は名前すら分からずに行方不明だし。
関東大震災では初恋の人(長男新之助の本当の父親)新吾を亡くしたり。
大きな不幸に見舞われつつも、人生の終焉には「くいはない、しあわせだった」と思える人生を歩んだ人です。(享年92歳!!、ということは1853年生まれ。安政ですよ。安政の始めの生まれです。この人!)


女医になった史織(本当は女中妙の子)
女優になった詩絵(孫)
夫を追いかけて海外逃亡して、銃弾に倒れた忍
そして忍の子どものみどり
と、血縁だけでも(史織は厳密には血縁じゃないけど)みんな情熱的ですごい濃い人生を送っていて印象深い人たちばかりだけど、それ以外に、芙美の夫である武史のことを思いつづけて生涯独身を貫いて、女医となったあけみ。
彼女は最初は嫉妬に狂うイヤな女だったけど、いったん身を引いてからは芙美のよき理解者となり、立派な女医になる。彼女の潔さに惚れ惚れしました。
それに、みどりといっしょに育ち、みどりと間違われて有馬家に引き取られたさくらも、最初は嫌な女の子だったけど段々と好人物に。
全体的にこの「あすなろ坂」は「あした輝く」を下敷きに、描いてあるように思われますね。
「あした輝く」は戦争をテーマに、愛を描いたと思うけど、今日子の娘の明日香の代に移り、戦争よりも「女の生きる道」みたいなのがテーマになっていったので、これは「あした輝く」をもっと深く掘り下げ、戦争はディテールとしてもっと濃い女の「生き様」自体をテーマのストーリーにしたのではないでしょうか。
で、このさくらを見て思い出すのが「あした輝く」の主人公今日子の友達のひろ子だったんで、あんな嫌な女になるのかなと思ったけど…。
ああいう嫌なだけの存在って心置きなく憎めて結構好きなんだけど、この「あすなろ坂」にはなかったね。

最後に東京の空襲の大火事からあすなろが救ってくれたと言うくだりにはジーンと胸が熱くなりました。
そして、結局最初の思い人と結ばれることになるみどりの行く末にほっとした者を感じつつ。
はあ~~ドラマだ。

自分が一つの人生を経験したような臨場感でしたとさ。


4062604310あすなろ坂 (4)
里中 満智子
講談社 1998-09

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4062604302あすなろ坂 (3)
里中 満智子
講談社 1998-08

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4062604329あすなろ坂 (5)
里中 満智子
講談社 1998-09

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[さ行のマンガ家]里中満智子 | Comments(6) | Trackback(0)
Comment
Akkoさん
こんにちは、コメントありがとうございます!!
まさしく大河ドラマでしたね!
里中満智子さんは「天上の虹」なども含め、大河ドラマの名手だと思います。
この「あすなろ坂」は芙美という一人の女性の生涯を通じて、何人もの女性のそれぞれの生き方を描いてあるのが、すごくお見事と思います。
そうですね、「オル窓」も素晴らしいし、こう言う物語をマンガで読めた読者は、幸せですよね♪
私もこの里中満智子の"あすなろ坂”が、コミックの中で池田理代子の"オルフェウスの窓”に並んで大好きです。歴史を背景にした大河ドラマを見ているようで私が思う限りに少女マンガ(劇画)の最高傑作のひとつだと思います。登場人物の中で特に好きなのは、有馬武史氏と珠絵さんだな、武史様は、まさに理想とするダンディズム、これぞサムライ魂の日本男子!また自分自身に自信なくてもひたむきで純粋で、実は素晴らしい文学の才能がある珠絵さんがすごくチャーミング!それと美人で聡明ながら 生涯独身で武史様への密かなる想いを捧げた女医のあけみさんもすごく魅力的!やっぱ、里中先生は世界に誇れる日本の少女マンガの先駆者でしょ~(^-^)b この
あすなろ坂が、何かのチャンスで実写で妥当の配役でTV化されたらいいな~(^^)
メグさん、いらっしゃいませ♪
芙美の輿入れ、なんか時代がかったものだったよね。
今手元に本がないから確認できないけども、メグさんの好きな新吾だって、人力車の運転手さんだったんですよね(笑)。
はいからさんの紅緒が大正生まれだけど、芙美のほうが年上(爆)
でも、この時代に生まれて芙美と同じように、5つの戦争と関東大震災を体験した人、いるんですよね。
すごい人生だなぁ…。
Shortさん、ご配慮ありがとうございます♪
過剰反応しすぎですよね。
気味が悪かったです。

そうそうそれ!
江戸時代ってすごいですよねぇ。
でも確か、芙美が嫁に来る時もかごみたいなのに
乗ってなかったっけ? 違ったかな?
昭和の終戦後までって・・
やっぱ、すごい人生だわ。
メグさん♪いらっしゃいませ。
おとたけくんの記事の話衝撃だったよ。
そちらにコメント書くのは控えたけども…。
皇室問題はみんな過剰反応だね。
人間みな平等ですよ。
皇室を尊いと持ち上げつつ、おとたけくんの身体を蔑み貶めるやからに憎しみを覚えました。
って書きたかったけど、やめといたの。ここで書いとくね。

で、この漫画に付いて。
新吾が好きなのね うふふ~。
里中さんの登場人物はストレートで気持ちよいわ♪
新吾が娘につけた名前、そうだったそうだった。
読んだばかりなのにもう忘れてる私(笑)
でも主人公が江戸時代の生まれって言うのに一番衝撃受けたかな(笑)
芙美の一代記でしたね。
内容はおぼろげな部分もあるのですがShortさんの
記事を読んで、かなり思い出してきましたよ♪
若かりし頃の新吾が好きで('-'*)フフ
別の人と結婚するけど娘に芙美って名前をつけるんですよね。
代替わりするたびにそれぞれにドラマのある人生で・・・
見事なぐらいひたむきに愛に生きてました。
ドラマティックな漫画だったと私も思います。

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