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不思議な少年/山下和美

2006年09月23日
4063725391不思議な少年 5 (5)
山下 和美
講談社 2006-07-21

by G-Tools


時代や国や次元を超えて、空間を自由に飛びまわる不思議な少年。
彼の目を通して、人間の喜びや哀しみ、生きること死ぬこと、命を、人間の存在そのものを見つめる短編集です。
少年が主人公じゃなく、その場その場でエッセンス的な立場にある。でも、ものすごく大事な立場なんです。
わたしはこの漫画を読んで「火の鳥」を、思い出しました。
神のように人間を見守りつづける永遠の命。
だけど、神ではない。
わたしは地球の一部なのです、と言った火の鳥を。

今回ご紹介するのは5巻。
収録作品は
●フランツ・カウフマン博士
●40歳のOL村山香
●ルキ・イスカリオテ
●夫・恭平、妻・瑠璃子
●昭とたけしとヨシ坊と


あさみさんにお借りしました、ありがとうございました♪


++++++++++++++

●フランツ・カウフマン博士

90歳のカウフマン博士は、過去のありとあらゆる書物の重大な場面に登場している、その少年に目をつけた。神話などではなく、その少年は実在したのではないかと考える。考え抜いた結論は、その少年が出会った人々の記憶を捜査することができるというもの。
勇気を出して自分を解放すれば、新しいすばらしい世界が開ける。カウフマンが何故このように好きな研究を思い切り出来る境遇にあるのか、自分の過去を思い出す教授のすがたに胸打たれます。一歩を踏み出す勇気を出すことの大切さと、好きなことを一生やりぬく喜びを描いた感動作でした。


●40歳のOL村山香

転職先では自分が2番目に年上だった…。なれない仕事と空回りするプレッシャーに疲れて香は帰りの電車の中から、とあるアパートに不思議な少年の姿を見つける。
思い切ってその部屋を訪ねた香が見たものは…。
自分の存在がちっぽけだと思って、落ち込むこともあるが、却って開き直ることができる場合も…。


●ルキ・イスカリオテ

ろくでなしの父親を殺してしまったルキ少年は独裁者に支配された未来にタイムスリップしてしまう。その異世界でルキは勇気を出して子どもを救う。自分で自分を信じよう、信じた時に何かが起きる!!

パズルをする少年の姿が何かを象徴している。


●夫・恭平、妻・瑠璃子

80歳になった老夫婦は、不思議な少年が来るのを待っている。
二人の人生の終焉に、過去を振り返ればそこには少年の姿が。
駆け落ちで一緒に逃げるバスの同乗者として。
しかし、そのバスは事故に逢い…。
幸せとは決して永遠に生きることではないのだ…。


●昭とたけしとヨシ坊と

52年ぶりにやってくるラングレン彗星。
そのニュースは小さな駄菓子屋を営む昭にある記憶を呼び起こさせる。
空き地でガキ大将のたけしに、いつもメンコを巻き上げられたりいじめられている昭とヨシ坊だったが、金色のメンコを持つ不思議な少年が現れてたけしを負かせる。その時から3人は少年を交えて楽しい日々を過ごす。

近づくラングレン彗星に願いをかけるとかなうという。
夜中に見ようという話しになると、不思議な少年は言う。
「゛ますように"と願うのではなく゛します"゛なります"と願うのだ」と。
願う時は、ほんとうの願いをひとつだけ…。

夜中に家を抜け出して、彗星を見に来た3人。
楽しく無邪気な子供時代の終わりのときだった。
だけど、
「楽しかった日々はいつか過ぎ去っていく
 でも決してなくなりはしない
 心の中にはずっと残るんだ」
と言う不思議な少年の声が、子どもたちの心にいつまでも残るのだ。

52年ぶりに昭は戻る。あの空き地へ。空き地のあった場所へ。
そこで見たものは…。

何故か自分がこのおっさんたちになったように、ノスタルジーに包まれて知らず知らずに涙が湧いてくるような物語で、この本の中では一番これが好きだったなぁ。
4巻も読んだけど面白かったし。このシリーズは自信を持ってオススメできますね!

不思議な少年 (4)
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[や・ら・わ行のマンガ家]山下和美 | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
トミーさんいらっしゃいませ♪
わたしは手塚大先生のその作品をまったく存じ上げませんで。ちょっと哀しい…。
でも、「火の鳥」を思い出したのだからひょっとして似てるかもしれません。
山下和美さんの漫画は「天才柳沢教授」と、後は昔の漫画しかしらないんですけど、「柳沢」っぽいちょっと哲学が入った不思議な感じがしましたよ。

あ、いま、アンジェリク、読んでます♪女触れがカッコ良い~~♪女触れだって。ジョフレです。
 フランツ・カウフマン博士 の巻のみ、週刊誌で読んで、不思議な味わいのマンガだなと思っていました。他の作品も面白そうですね。私の年代だと、時間を止められる 手塚 治虫の作品「不思議な少年」を思い出しますが、少しその作品にインスパイアされているのかな ?

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