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五番街を歩こう/岩館真理子

2005年06月22日
五番街を歩こう
岩館 真理子
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5番街をあるこう
集英社マーガレットコミックス

◆5番街をあるこう
 +金魚草のこころ…1987年26号
 +紫陽花の陰に猫はいる…1987年35号
 +カルミア…1987年42号
◆月夜のつばめ…1985年13号  週間マーガレット掲載


◆五番街をあるこう
は、連作短編集。五番街に住む3組の男女のラブストーリー。
胸がほっこりと温かくなるようなラストがどれも素敵な作品群。
父親の起こした事故に巻き込まれて肉親を失った相手が、笑顔を見せる日がきたら自分も幸せになってもいいかも、と思うヒロインや、妻である自分の事よりも、他人にばかり気を使う夫に寂しさを感じ、それなら「他人」に戻ろうかと考える家事研究家、離婚はしたが夫の友達を好きだったことに責任を感じているヒロインなど登場。
+金魚草のこころ
一見幸せな同棲生活をしている、魚住さんと初っちゃん。
でも、初っちゃんが魚住さんのプロポーズを受けなかったことで、徃住さんは朝からご機嫌ななめ。
実は初っちゃんには気がかりがあり、その気がかりがなくならないことには自分が幸せになってはいけないと考えてた。
魚住さんの大きな猫、ブーに向かって初っちゃんが語ったのは…。
初っちゃんのお父さんが起こした事故で、初っちゃんがいつも遠くから眺めていた憧れの男の子のお父さんが死んでしまった。
その日から彼の笑顔が消えたので、その笑顔が戻るまでは…。
そして初っちゃんに届いたのは、彼の結婚式の招待状。
彼が笑う日はきっと来る。
+紫陽花の陰に猫はいる
魚住さんがいつも通うカフェのマスター夫妻。
奥さんの文沙子さんは、お料理の評論家。
でも、実はむかし、太っていたんですね。
痩せるために努力して、挙句料理評論家にまでなってしまった。
あまりにも自分を見てくれないマスターに、寂しさと虚しさを募らせて、リンゴで「リコン」って書くんです。
それを見たマスター、「シタクナイ」にするにはリンゴが足りない。
そこで、半分に切ったリンゴを使って「リコンシタクナイ」って言う文章を作ります。
奥さんは、自分の作ったケーキをマスターのお店においてもらって…なんとなく、危機脱出?
まだまだ波乱がありそうな夫婦です。
+カルミア
さて、五番街のこのマスターのお店に次にやってきたのは緑山都さん。
離婚したばかりです。
元夫の同僚の茶畑さんが色々気にかけてくれます。
仕事をしてみれば店長からセクハラを受け、その場面に遭遇した茶畑さんはそのセクハラ店長を殴って都さんはクビ。
次に勤めたスーパーにも茶畑さんはやってきて、そのせいで店を無断で抜け出して茶畑さんに品物を届けた都さんはクビ。
次に務めたのは魚住さんの家具店。
でも、離婚前から、都がすきなのは夫ではなく茶畑だった…中学生のような恋、そのままでいいという都と「中学生みたいな恋なんてもう、できない」と言う茶畑。
かくして2人は都の田舎F町に行ったのです。



◆月夜のつばめ
愛子には19歳年上の哲子ねえさんがいる。父親の連れ子で、愛子とは半分しか血のつながりはない。が、父親亡き後病弱の母の代わりに家族の生活を一身に背負っている。愛子の二人の姉は嫁いだが、哲子は嫁がずに家族のために犠牲になってる。と、愛子は思う。そんな哲子が実は、少女漫画家志望で、先日出した投稿作品が受賞してしまった。しかも、そのペンネームと年齢は愛子のものだった。そこで、愛子が哲子の身代わりに立つが…。

家族を見捨てられないという長子の責任感と重圧、そしてそこにこそ自分の存在意義を内心抱えているという哲子姉さんは、他人とは思えない(爆)
それが、幸せならそれでもいいじゃないかと思ったけど、新しい道を踏み出そうとした彼女の勇気に感動する。また、残される方(この場合愛子と母親)の寂しさにも着眼していて、どちらの気持ちも凄く良く描けていて素敵な作品だ。ラストはこれまたホッとしてしまう。(愛子の親友、沙羅ちゃんのお父さんの奥さんに!)やはり、一緒に人生を歩く相手がいるのは幸せに違いないよね。
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