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きみは3丁目の月/岩館真理子

2005年06月23日
きみは3丁目の月
岩館 真理子
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きみは3丁目の月
集英社マーガレットコミックス
◆きみは3丁目の月…1985年38号~41号(週マ)
◆静かな訪問者…1986年1号(週マ)
◆クリスマス★ホーリー…1988年1月号(ぶ~け)掲載



◆きみは3丁目の月
ルツは弟の彰がいないと、何にもできない。何から何まで彰だよりだ。
その彰は、転校生のワガママで「ひとりじゃなにも出来ない」女に奪われそうだ!
焦るルツ。ルツvsみどりの、勝負やいかに??

朝、寝坊して「おかあさん、何で起こしてくれないの?!」から始まり、時間がない中での洗面所での身づくろいのようす、制服はしわくちゃ、ブラウスがどこにあるのか分からない、カバンがどこにあるのか、あったけれど、時間割がどこにあるのか!やっと出てきた時間割がなぜかとっても小さい紙に書いてあって、「今度は大きい紙に書くぞ」と誓いつつ、焦りまくりながら今日の準備をして…という、「気持ちは焦ってるのに、状況はもたもた」というこの描写が見事です!(爆)
結局遅刻したルツが大きな「私は遅刻しました」という「印」をつけさせられて「遅刻くらい何でもない。どうしてあんなに慌てていたのか…」と、のんびりんこと今の状況を受け入れてるあたりの、時間の流れの落差!!見事です!!(爆)
彰をはさんで、転校生の碧とルツのバトル!!面白いです!!
それにしても、彰ってどうしてこういう女の子が好きなんだろう。苦労するよ。と思うけど、これは女の僻みでしょうか?(爆)
でも、たしかに彰っていい男♪手放したくないルツの気持ちはよく分かる。
岩館作品トップクラスのコメディだと思う。
「ぼくはルツがすきだった
 はじめて好きになった女の子だった
 ルツは」
って言う、彰の日記がいいな。
そして子供時代の彰が月を見つめてる最後の1コマ、これがいかにも岩館さんらしい切なさの凝縮したコマで、すっごくいいです♪


◆静かな訪問者
りりこ先生は太郎さんが好き。でも、妹の元夫だった太郎さんに気持ちを伝えられなくて、意地を張っている。それを見守るのがりりこ先生のクラスの生徒。立場逆転の、恋愛相談。でも、この相談相手のよっちゃんがまた、家庭が難しい状況なのに健気で明るいの!結局、りりこ先生が行動を起こす勇気に拍手を送りたくなる作品。
でも、結末ははっきりと分からないんです。
それがまた、切なさを倍増しして胸きゅんなんです。

りりこは妹みみこの恋人の太郎と惹かれあったのだけど、素直になれないりりこは太郎が「みみことわかれた。好きになった」って言われても、すぐに「はい」と言えない。でも、女からしたらやっぱり、そこで素直に太郎と結ばれてしまったら、妹に申し訳ないと思ったり…しますよね。
姉として、太郎を無視する気持ちは多分、わかる。
でも、太郎がみみこを裏切ったのじゃなくて、みみこのほうが先に太郎を裏切っていたのだと言う意外な結末が…。
この、なんとなく胸がざらつくような姉妹関係。
これは岩館作品のもつ、独特のカラーなんでしょうね。
りりことみみこの関係は「おいしい関係」のコーチの親の姉妹に似てるよね…。

◆クリスマス★ホーリー
父親の「ハーレム」のことを小説にしたら売れた。そんな作家のもとに、妹です!と名乗る女が出現。全体にスタイリッシュで都会の童話って感じ。めっちゃおしゃれな作品。
作家の阿木武夫は妹と名乗る小泉早穂子と同居をはじめます。
同時に何人もの女たちが次々と妹を名乗り、阿木の前に姿をあらわす。
みんな阿木を利用しようとする女たちばかりだった。
そしてモデルの早穂子も、実はそんな女の一人だったことが分かり、阿木は早穂子を追い出してしまう。
でもその本心は早穂子に次第に惹かれていき、彼女が妹でなければいいのにと思うようになっていたのだ。
クリスマスの夜、赤い実を散らしたように、女たちが阿木のマンションのテラスに集まる。再びやって来た早穂子も赤い服を着ていた。
その後阿木は早穂子が、阿木の血のつながらない妹だと知ることになる。阿木の父親と別れた、阿木の生みの母親が、早穂子の父親と結婚したのだ。
阿木の母親はいつも阿木を見ていた。
そして、死んでしまった後は、早穂子がその母親の代わりに、阿木に近づいたのだった。


都会が舞台の大人の童話みたいな、素敵な物語です。


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[岩館真理子]Review | Comments(3) | Trackback(0)
Comment
Re: 御無沙汰しております。
続きです(送信エラーになりまして)

ふふ、ルツも、みどりもどっちも友達になりたくないタイプですよね。
アキラって、そういうタイプに困らされる運命なのですかね(笑)
「クリスマスホーリー」美しい物語ですよね。
登場する男はかっこいい、女は美しい・・・。
ほんと、あこがれてしまいます(*^_^*)

ではでは、じゃこうねこさん、どうかお大事になさってくださいね!!
またのお越しをお待ちしています!

じゃこうねこさん、いらっしゃいませ。
いろいろとたいへんなことに!
おだいじになさってください~
岩館作品にいやされて・・・でも、それは良いことです(笑)
御無沙汰しております。
実は先日引越しをしまして急に決まったためすごいワタワタして疲れて体調を壊し今実家に静養?逃避してまして^^岩舘作品で癒されているところです。3つ目のクリスマスのお話いいですよね!私、こんな感じの「大人のおとぎ話」っていうテイストが大好きなので何度読んでもジ~ンときちゃいます。でも三丁目の~のヒロイン・ルツも好きですよ^^実際いたら相当の困ったちゃんだと思うけどマンガだと可愛いですよね。
岩舘さんの作品ってあるわけもないけど日常にふっと起こりそうな気がして、ひきこまれてしまいます。

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