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ちょべりぶ/玖保キリコ

2007年06月19日
4091848818ちょべりぶ 1 (1)
玖保 キリコ
小学館 1998-01

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お、掘り出し物です!(と言うかわたしが知らなかっただけかもしれませんね)ナンセンス?シニカル?ファンタジー?友情モノ?
全3巻、ギャグなのかと思っていたら最後に思いも寄らぬ感動が。
平たく言うと「ブタ版・アルジャーノンに花束を」と言う感じかしら。

私立藤の宮学院高等部に、季節はずれの転校生がやってきた。クラス委員の金田角子は担任に転校生の世話係りを仰せつかる。受験で忙しいこの時期にとんでもない迷惑を感じた角子だけど、先生が言うには「世話をすればどんな難関大学も推薦で入れるようにしてやる」とのこと。そしてやってきた転校生、後白河葉月は、後白河財閥の孫娘でありそして・・・ブタだったのです。

ブタであるという驚きよりもやっぱりこの漫画は、葉月のムチャムチャなまでの金持ちっぷりが面白い。校長たちも意のままに操るし(金に物言わせて)お店もすぐに買い取り(貸切、というレベルじゃないのです)カラオケはコンサートホールで満員の客席(拍手要員)の中で生演奏、衣装つき・・・とか。

タイトルの「ちょべりぶ」って今は死語でしょうけど、「ちょべりば」から来ているのでしょう。「チョーベリーバッド」の略で、一時はやり言葉でしたね。葉月はブタなので「バ行」の言葉が「ブ」になってしまうんです(ベートーベン→ブートーベン、バッグ→ブッグ、みたいに)が、、これ、薬の名前が「チョモランマ・ベリー・ブルーリーフ」で略して「チョベリブ」。この薬を飲み続けることで葉月はブタなのに人間の少女でいられるのです。
葉月がどうして後白河家に養女に入ったかというと「小さな村の農場で大家族とともに暮らしていたが、リゾート開発のためにそこにやってきたおじいさまが、わたしを見て『死んだ孫に似ている』と引き取った」という話。

この葉月(と、ミヨちゃん)のわがままやブタに振り回される角子。時々身の危険を感じながらだんだんと葉月との間に友情らしきものを育ててゆきます。
そして最後は・・・

後白河財団の経営悪化でグループ崩壊、葉月のおじいさんも亡くなり、葉月のドクターも死んでしまい、「ちょべりぶ」を作る人材も資金もなく、調合済みの「ちょべりぶ」を飲みきってしまったあとは、葉月は本来の姿に戻るのです。
最後はまったく「アルジャーノンに花束を」という感じで、かなりウルウルっときました。後白河財団のときに、元ボディガードとセラピストとして雇われてたエリザベス中村と石山岩男が、解雇された後も影で葉月と角子の生活を支えてるのもジーンとします。

金持ちワガママで憎たらしかった葉月がだんだん好きになってくるから不思議。角子同様、このままのほうが葉月にとっては幸せなんじゃない?と思いつつ、またいつかちょべりぶが復活して、後白河葉月になれると良いね!!と思わずにいられません。

4091848826ちょべりぶ 2 (2)
玖保 キリコ
小学館 1998-11

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4091848834ちょべりぶ 3 (3)
玖保 キリコ
小学館 1999-10

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