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海街diary/吉田 秋生

2007年06月29日
4091670253海街diary 1 蝉時雨のやむ頃
吉田 秋生
小学館 2007-04-26

by G-Tools


「吉祥天女」が映画化で話題の吉田秋生さんの、最近のマンガ、本のSNSで話題になっていたので読みました。
読み終えたとき、胸が暖まるようなほっこりとするような、それでいて清々しく爽やかで・・・。地味な物語なんですけどね。

●蝉時雨のやむ頃

物語は、三姉妹のところに、父親の訃報が入るところから。
父親と言っても、ずいぶん前に娘たちを捨てて、女性のもとへ行ってしまった父親なのです。
看護師の長女、幸は夜勤があるからと二女の佳乃と三女の千佳に、葬儀に出席するように言う。そして父親の終の棲家となった山形についたとき、ふたりを迎えに来ていたのは異母妹にあたる、すずという少女だったのです。

自分たちを置いて女の所に行った父親にたいして、彼女たちは当然良い印象を持ってなくて、また思い出も少なく、死んだからと言われても悲しくないし涙も出ない。その町で人に好かれていたらしい父親だけど、いくら好かれていたとしても、自分たちはその父親に捨てられたのだと思う佳乃。気持ちが伝わってきます。
でも、そんな彼女たちが父親の死を心から悼む事ができたのは、異母妹のすずのお陰だったのです。
すずの一番好きな場所が、父親の好きな場所でありそしてそこから見える風景は・・・。なんとなく「耳をすませば(ジブリ作品のほう)」を髣髴とさせるその風景が、読者のこころにも染み入るようなのです。父親の死を悲しむ姉妹たちに、「よかったね。お父さんの死を悲しんであげられて」と言う気持ちに。
結局、すずはこの3姉妹と今後ともに暮らすことになります。その顛末で、さち姉さんが大好きになりました!

●佐助の狐

やってきました、すずちゃん。「妹なんだから『ちゃん』はつけないよ」と、呼び捨てにするさち姉さん、やっぱり良いです!(自分が三姉妹の長女なんで、どの物語を読んでもやたら「長女」に肩入れしてしまうわたし(^^ゞ)。徐々にこの家に慣れて行くすずのものがたりでもあり、佳乃の恋人の正体は・・・と言う物語でもあり。
彼女たちが住んでいる家がすごく良い感じなんです。古い日本家屋なんですけど。玄関に行くまでに、竹の柵でできた壁のある長い通路があって(引越しのトラックは、玄関まで行けない)障子があり畳があり、ちゃぶだいがあって。床下には手作りの梅酒、その梅は庭にある梅の木からとれたもので。
そんな家に迎えられ喜んでいるすずちゃんに、幸せになってもらいたいモンです。
佳乃の恋人の正体が分かる顛末も面白い。
「あたりまえだと思ってることは案外あたりまえじゃないのかも知れない」多分きっとそうなんだろうな。

●二階堂の鬼

すずちゃんは地元のサッカーチームに入ることに。
あっという間にチームに溶け込むすずですが、入れ替わるように怪我から入院してしまったチームメイトがいます。
実はその子は、単なる怪我での入院ではなく・・・。

これ、かなり切ない話でした。
中学生だけどしっかりと前を見ている彼らが可愛くて可愛くて。


2巻の感想はこちらです。
4091670377海街diary 2 (2) (フラワーコミックス)
吉田 秋生
小学館 2008-10-10

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[や・ら・わ行のマンガ家]吉田秋生 | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
おお!するどい!大当たりです。
実はこの姉妹の住んでるところが鎌倉なのです。
やっぱり、一目見て分かるんですね!
鎌倉好きのくままには是非ともオススメするつもりでした。
今出張中なのですが、戻ったら・・・。(*^_^*)
絵が美しいですね。表紙の景色は、鎌倉は江ノ電の沿線風景のようにも見えました。ストーリーも、しみじみしていて、shortさんの書評に読みいってしまいました。

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