2007年07月02日
![]() | ぶっせん 上 三宅 乱丈 太田出版 2006-10-19 by G-Tools |
これまた面白いマンガ、読みました!!
ぶっせん・・・と言うのはつぶれかけた山寺「仏物専寺(ぶつぶつせんじ)」の起死回生を狙って始めた「仏教専門学校」を、ひとは親しみを込めて?こう呼ぶのです。この漫画は、そのぶっせんで仏教の勉強をする生徒たちの全寮制生活を、リアルに叙情豊かに描く作品です。
よくまぁこんな設定を思いついたと言うか・・・今まで見たこともないタイプの漫画。ストーリー運びの妙と言うか、次のコマで待っている意外性にしてやられてしまいました。唸る!
ぶっせんには強力なライバルがあり、それがお隣の真言宗系のお寺「金々腹寺(きんきんふくじ)」。ぶっせんにスパイを送り込みます。ところがこのスパイ、まるでスパイの素質のかけらも持っていない。あっという間に、ぶっせんの本当の生徒のように、いいえ本当の生徒以上に馴染んでしまうのです。
それが一巻の表紙を飾る、このドングリ眼とたらこ唇がトレードマークの田村正助です。これがもの凄く強烈なキャラで、物事を秘密に出来ない性分。それで自分がスパイである事も最初から暴露しているのですが、常に(たくあんを味付けにして)碁石を舐めている、草履を抱いてしまう、などなど、奇妙奇天烈な行動の数々。正助が風邪を引いたら、青天の霹靂みたいな驚かれよう(つまり、バ●、笑えるほどに。)しかし平和を愛し誰かがけんかをし始めたら「なーかーよーくー!!」と体を張って止めたりする愛しいヤツです。
そして、仏物専寺を学校にしようと思いついたのは、仏物専寺和尚の老師の愛弟子、雲信、通称つまんだ。見ての通り「つまんだみたいな頭」だから。(2巻表紙参照)
寺を学校にして、親から入学金や授業料を取って寺の経済を救おうと思ったのは良いけど(良いのかな?)思惑通りに、ことが運んだためしがないと言った苦労や、また、おバカな生徒たちやあろうことか、住職である老師にさえ振り回される苦労など、並大抵じゃない雲信の日々の戦い・・・それが、物語の見所の一つです。って言うか一番の笑いどころ。まったくこの生徒たち!!正助のほかにももの凄く個性的な面々が(印象が薄くて和尚に名前を覚えてもらえない生徒もいるけど)そろってるし、センサー先生も超暑い!この面々が考え付く事といったら、読んでいても口をあんぐりあけてしまうような、突拍子もなくそしてオカシイことばかり。良くこんな事思いつきます、著者の三宅乱丈さん!
だいたい一話12ページと言う短さで、ストーリー漫画というよりはギャグ漫画の態をなしているようです。たった12ページなのに一話の完成度の高さは素晴らしいです。きっちりオチが付いててね。でも全体を通してみると、これまたきっちり一つの長編として見事に完成されています。
ぶっせんの生徒たちの日常が面白く描かれている中で(本当~~~~に、面白いんですよ!)、
・三条と城とマナちゃんの三角関係
・真美お嬢様と貞奉の恋
・ぶっせんの土地売買
・拳銃の処遇
・金々腹寺内の出世競争
など、次々に難問が沸き起こり、飽きない面白さ。シビアだったりあるいは仏教を題材に取るだけあって、奥の深い言葉に胸打たれたりしながらも、基本は笑い。徹底的に「笑い」なのが良いです。
この復刻版、1巻の帯が二ノ宮知子さんで、解説が夏目房之助氏。2巻の解説が三浦しをんさん、3巻は阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史さんという豪華さ。それぞれに書き下ろしの番外編がついてるのもお得感を満足させてくれます。ちなみに3巻表紙は、三浦しをんさんにも大好き!と言わしめるキクさんです。この人の魅力は・・・ともかく読んでくださいっ!!
んで、この三宅さん、絵が上手い~!
お寺なんて描くのむずかしいと思うんですけどね、すっごく上手に端折ったりして、部屋の中にしろ外にしろ、何気な~く力抜いて描いてあるって言う印象ですが、その実かな~り上手いと思いました。
最後に驚いたのがこの人が女性だって言う事。
でも、そういわれて見れば納得。全編そこはかとなく上品だもん。
オススメです!
![]() | ぶっせん 中 三宅 乱丈 太田出版 2006-11-23 by G-Tools |
![]() | ぶっせん 下 三宅 乱丈 太田出版 2006-12-14 by G-Tools |
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