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夜と星のむこう/今 市子

2007年08月31日
478592795X夜と星のむこう 1巻 (1)
今 市子
少年画報社 2007-06-13

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ひさしぶりの今市子さんの新刊。
出生の秘密がからんだミステリー仕立てのホラーテイストな物語、ということでちょっと「あしながおじさん達の行方」を彷彿とさせました。主人公にまとわりつく不思議なヤツらの、ちょっぴりコミカルな感じは「百鬼夜行抄」の尾黒尾白や青嵐たちを彷彿とさせます。が、ヤツらは青嵐たちみたいに頼りになるのか?ちょっと今のところ頼りない感じ。そこが面白いんですけどね。

主人公の、立一(りゅういち)の家庭は複雑なんです。
両親は、立一の前に一人子どもをもうけていたのだけど、産院の火事で生まれたばかりのその子をなくしてしまったのです。
それですぐに養女として女の子、弓絵を迎え入れたのですがその2年後に主人公の立一が生まれる。
時が流れて、この物語の冒頭、死んだと思っていた赤ちゃんである「兄」が生きていて家に帰ってくるのです。
その名も「龍一」。
しかし、家族の誰にも似ていない彼は、本当に「兄」なのか。
そして、その龍一に影のように取り付いている一人の男、玄(げん)。彼はなんとオオサンショウオの化身なのです。その玄が立一に「仕える」と宣言し。
不気味に思い戸惑う立一に、兄、龍一は「ヤツは強い。傍においておく方がお前のためだ」と言うのですが、実際危ない場面になると、強いどころかこの「世界」に適応しきれない「情けないほどに弱い」彼ら。それが面白くって笑えるんですが。

なんとも不思議で謎だらけの物語。
巻末に、大昔から続いてきた「龍」と「わし」の因縁が解き明かされる物語がついているのですが、それによると「15歳」と言うのが一つのキーワードらしい。ここでは龍一と玄は仲が良いみたいなんですけどね。

まず、龍一は本当に立一の兄なのか。
何のためにこの家に来たのか。
「お袋様」←龍一の育ての親、は龍一に何をさせようと言うのか。
そもそも「お袋様」って誰?
本当の「りゅういち」は誰なのか。
「叔母さん」は何者だったのか。
「なまず」って誰?何?
どうして龍一と玄の仲が悪いのか。

疑い出したら、立一のたとえば父親とか、義理の姉弓絵まで怪しく感じるし、2巻が楽しみと言うか、2巻を読めば分かるのですか?と聞きたいような。でも、不思議世界にずるずると引き込まれるように、目が離せない物語です。

あさみさんにお借りしています。ありがとうございます!

今市子さんといえば、「幻月楼奇譚」の2巻や花音コミックの「僕のやさしいお兄さん」と言う本も出ていて。どっちも面白そー!読まなくっちゃね!!

4199603557幻月楼奇譚 2 (2) (キャラコミックス) (キャラコミックス)
今 市子
徳間書店 2007-08-25

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4832284789僕のやさしいお兄さん 1 (1) (花音コミックス)
今 市子
芳文社 2007-08-29

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[あ行のマンガ家]今 市子 | Comments(0) | Trackback(0)
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