2007年11月19日
![]() | 大阪ハムレット (1) 森下 裕美 双葉社 2006-05-12 by G-Tools |
![]() | 大阪ハムレット 2 (2) (アクションコミックス) 森下 裕美 双葉社 2007-01-12 by G-Tools |
かの「テレプシコーラ」が手塚治虫漫画賞を受賞した時、短編部門を受賞したのがこちら。
うん!!
いい!!
絵柄はコメディタッチで、大阪弁がバリバリで軽いギャグマンガかに一見見えますが、とんでもない、内容はかなりシビア。そりゃもう、重いです。
生きるべきか、死ぬべきか。。。
でもそれを跳ね返すパワーを感じさせてくれる人々が、この物語の中では生き生きと躍動しているんです!
時には主人公たちの悩みや凹みに共感して泣けてきたり、そこから浮上するガッツに感動したり、ともかく泣ける泣ける!!
まさかこんなにも泣ける作品だとは思いませんでした。
表題作の「大阪ハムレット」では、ヤンキーのユキオくんが担任に「ハムレットに似ている」と言われて、激昂する所から始まります。
ユキオくんはシェークスピアもハムレットも知らないので、最初は「ハムスターに似ている」と言われたと思って怒るのです。
でも、ハムスターではなくハムレットだと分かって、その原作を読むことにします。
でも、読んでますます激昂!
だってハムレットの家庭環境は複雑・・・実はユキオくんの家庭も複雑なんです。
その複雑な家庭で、悶々としながらも結構「いい子」なユキオくんの気持ちに、読んでて胸がジーンとします。ハムレットもちゃんと読みこなして、ハムレットの優柔不断さを批判したり、親にたてつく場面をなじったりして。人生何も、自ら不幸になることはない!強面のユキオくんが愛しく感じます。
2話目は「乙女の祈り」。女の子になりたい男の子、ヒロの物語。これも、ヒロの気持ちをきちんと受け止めて応援しようとする家族や周囲の温かい気持ちがいいです。
「名前」は、1巻2巻通して一番感動したかも。
不妊治療中の主人公、夫の非協力的な態度に悩んでいます。
その家には夫の姉親子が出戻りしていて、主人公にとっては義理の姉や義理の甥と一緒に、もちろん夫の両親も同居という大所帯。その中で今、夫婦がなんとなくギクシャクしているのです。物語はいろいろなことがあって、夫婦が気持ちを寄り戻すところまでを描いてあるんだけど、すごくいい!!
物語りも感動できるけど、漫画の構成としてもすごくいい!いろんな場面から主人公の気持ちがよく伝わるし、すべてのエピソードの無駄なく見事につながっている事。たった26ページなのにこの内容の濃さ、素晴らしい!
「恋愛」は、年の差カップルの物語。こんなことは滅多にないでしょうが、でも、ほのぼのさせられてじんわり。何気に家族の顔が激似しているのも面白いし(笑)。ほのぼのだけではない奥の深さがあるのですよね!
2巻の「十三の心」は、本が好きな人なら絶対に分かる少女の気持ち。好きな文章、センテンスに出会ったときの心の高揚、またそれにショックを受ける若く瑞々しい気持ちが、すごくよく伝わってくる。もちろん、それだけじゃない、難しい家族の問題もはらみ、やり場のない少女の気持ちに涙がじんわり。
「大阪踊り」これまたよかったー!泣けた泣けた。
バレエ漫画になってまして。。(?)都会から戻ってバレエ教室を始めた先生のもとで、エリカちゃんも一生懸命習います。このエリカちゃんがすごくいい!ひたむきで可愛くて。人はみなエリカちゃんみたいな時期があったんだろうに、それを思い出そうよ!と、言いたくなる様な。エリカちゃんの大阪踊りに涙があふれてしまいましたよ。
「オードリーの家」は冒頭の「大阪ハムレット」と同じく、親の再婚、親の恋愛に置いてけぼりを食わされた子供の寂しさがテーマ。泣けます。どうしようもない気持ちが見事に伝わってくる。誰も悪くないから余計にやるせない。でも、きっとみんながいつかは幸せになれる日が来るのじゃないかという、希望の見える終わり方がいいですね。
逆になんだか寂しい終わり方をするのが「この世界の女王」。さらっと描いてあるけど、かなりシビアで2巻中一番辛い話なのかもしれません。
ともかく、受賞は伊達じゃありません!
オススメです!!
あさみさんにお借りしました。ありがとうございました。
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