2008年04月17日
アドルフに告ぐ (1) (手塚治虫漫画全集 (372)) | |
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かねがね、手塚先生の作品の一番は「ブラックジャック」か「火の鳥」か、と思ってましたが、本当にお恥ずかしい次第です。この「アドルフに告ぐ」は、本当に素晴らしい。感動しました。
時は第二次世界大戦に入るちょっと前ぐらい。言わずと知れたヒトラーもアドルフという名前ですが、日本にもアドルフという名前を持つ少年が二人、神戸に住んでいました。
一人はユダヤ人のアドルフ・カミエル、そして一人はドイツ人(母親が日本人)のアドルフ・カウフマン。物語は、ヒトラーの出生の秘密文書を手に入れたらしい弟を殺された、峠草平というジャーナリストの案内で進んでゆきます。
このヒトラーの出生の秘密文書をめぐって、日本・ドイツの戦争を舞台とした大河ドラマが繰り広げられるのです。
二人のアドルフは子ども時代、友情を誓い合ったのにその立場上、敵味方に分かれてしまいます。カウフマンの方は、ナチスの養成学校へ行きどんどんとヒトラーの思想やナチスに傾倒してゆくのですね。この物語の中では、一番と言っていいぐらい、彼の生き方に引き付けられてしまいました。
今でこそ、部外者だからこそ「ナチスに傾倒するなんて」と批判は出来ましょうが、その当時に当事者としてそこに生きていたら、自分もきっとカウフマンのように生きていたのではないでしょうか。。
峠とふたりのアドルフは不思議な縁で結ばれて、お互いの人生を絡ませていくのですが、その展開は目を離す事ができないほどスピーディで説得力のあるものでした。
そしてここに描かれている戦争と言うものの酷さ、容赦ない描写で「二度と戦争はしてはいけない」と再確認させてくれる、それはやっぱり手塚治虫さんが実際に体験したことを、ここに再現してくれたから。ものすごくリアリティがあるのです。
戦時中はユダヤ人は迫害され虐殺されましたが、その後、パレスチナ(イスラエル)をめぐっては、逆に迫害者でありテロリストになってしまった部分もあったということも、キッチリ描かれていて、本当の正義と言うのは一体なんだろうという深い問題提起をしていて考えさせられます。
自分が信じた正義を振りかざすということの恐ろしさが、余すことなく描かれている、真のヒューマニズムだと思いました。
もしも未読のマンガ読みさんがいらしたら、是非ともご一読を。
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Comment
ラムちゃん
早速の読了、そしてコメントありがとう!!
とっても素晴らしいでしょう。
5巻と言う長さの中で、余分なものは無く、足りないものもない、実際こんなにまとまった物語は小説にも引けをとりませんよね!!
うん、たしかにグレーであることが、この作品を素晴らしいものにしているかも。
片方を糾弾するばかり、もう片方を擁護するばかりの偏った立場で書けば、こうはなら無かったかも。
今まで読まなかったのが悔やまれましたが、読んでよかったですね♪
早速の読了、そしてコメントありがとう!!
とっても素晴らしいでしょう。
5巻と言う長さの中で、余分なものは無く、足りないものもない、実際こんなにまとまった物語は小説にも引けをとりませんよね!!
うん、たしかにグレーであることが、この作品を素晴らしいものにしているかも。
片方を糾弾するばかり、もう片方を擁護するばかりの偏った立場で書けば、こうはなら無かったかも。
今まで読まなかったのが悔やまれましたが、読んでよかったですね♪
読了しました。
本当に手塚氏の作品は素晴らしい!
私も「火の鳥」が手塚氏最高傑作と思っていましたが、「アドルフに告ぐ」も感動しました。
アドルフ(ヒットラー)によって、運命を狂わせたドイツ人のアドルフ(カウフマン)、ユダヤ人のアドルフ(カミル)。日本人を絡めたドイツ人、ユダヤ人人間模様、争いともいえる物語は、どっちが善か悪かを描かれていない、グレーのような描き方は、手塚氏の反戦を描いていたように感じました。
「おれの人生はなんだったんだろう。(略)おろかな人間がいるから国は正義を振りかざしているだろうな」
このセリフが心に残りました。
本当に手塚氏の作品は素晴らしい!
私も「火の鳥」が手塚氏最高傑作と思っていましたが、「アドルフに告ぐ」も感動しました。
アドルフ(ヒットラー)によって、運命を狂わせたドイツ人のアドルフ(カウフマン)、ユダヤ人のアドルフ(カミル)。日本人を絡めたドイツ人、ユダヤ人人間模様、争いともいえる物語は、どっちが善か悪かを描かれていない、グレーのような描き方は、手塚氏の反戦を描いていたように感じました。
「おれの人生はなんだったんだろう。(略)おろかな人間がいるから国は正義を振りかざしているだろうな」
このセリフが心に残りました。
ゆこりんさん、コメントありがとうございます。
マンガって、今でも軽く見られてて、それは仕方がない部分もあるんですが、でもこう言う「ヘタな小説なんか太刀打ちできないぐらいの素晴らしいマンガ」もあるんだと、皆さんに知ってほしいです。
「ヒトラーの防具」も良いけど、「アドルフに告ぐ」のほうがメッセージ性、構成共に格上じゃないですか?
もっとこの本、前面に登場しても良いと思いました。
ブッダは途中まで読んで、これまたお恥ずかしい事に、完読していません。
「陽だまりの木」と一緒に今度買うつもりです。
マンガって、今でも軽く見られてて、それは仕方がない部分もあるんですが、でもこう言う「ヘタな小説なんか太刀打ちできないぐらいの素晴らしいマンガ」もあるんだと、皆さんに知ってほしいです。
「ヒトラーの防具」も良いけど、「アドルフに告ぐ」のほうがメッセージ性、構成共に格上じゃないですか?
もっとこの本、前面に登場しても良いと思いました。
ブッダは途中まで読んで、これまたお恥ずかしい事に、完読していません。
「陽だまりの木」と一緒に今度買うつもりです。
またまた記事に反応してしまいました(^^;
この本は20年位前に買って、今も大切に
持っています。
漫画と呼ぶにはあまりに惜しい・・・。
絵で見る文学作品ではないかと思います。
今までに、何度も読み返しています。
最近では「ヒトラーの防具」を読んだあとに、
無性に読みたくなって引っ張り出しました(^^;
手塚さんの「ブッダ」は読みましたか?
こちらもいい作品だと思います(*^o^*)
この本は20年位前に買って、今も大切に
持っています。
漫画と呼ぶにはあまりに惜しい・・・。
絵で見る文学作品ではないかと思います。
今までに、何度も読み返しています。
最近では「ヒトラーの防具」を読んだあとに、
無性に読みたくなって引っ張り出しました(^^;
手塚さんの「ブッダ」は読みましたか?
こちらもいい作品だと思います(*^o^*)
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