2009年06月15日
![]() | サマヨイザクラ裁判員制度の光と闇 上 (アクションコミックス) 郷田 マモラ 双葉社 2008-10-28 by G-Tools |
![]() | サマヨイザクラ裁判員制度の光と闇 下 (2) (アクションコミックス) 郷田 マモラ 双葉社 2009-03-28 by G-Tools |
会社を内部告発してクビになり、クビになったことを両親にも言えず、貯金が底をつき、ネットカフェ難民になってしまった主人公が、裁判員に選ばれた。
主人公の目を通して、裁判員制度の光と影を描きます。
多分、そんなことだろう・・・と思っていたことが、当たっていた。
でも、そんなことはどうでもいいです。
実際に裁判員になってしまったときに、どう言う感じなのか。このマンガですごく良く分かります。
主人公は、仕事にもあぶれて暇だし、社会をどちらかと言うと恨んでいるから、裁判員に選ばれた事が優越感を与えてくれる。かたや、5日間も仕事を休んで(この事件は、フリーターが恨みに思った主婦を3人、めった刺しにして殺したと言う、大きな事件なので5日間らしい。普通の事件は3日間の拘束)クビにならないか心配している。予備の裁判員も必要なわけで、自分の意見は反映されないのに、もしものときの為に拘束させられ、これも仕事に支障がある。。というように、その立場によっても、負担の度合いが大きく変わるようですね。
ともかく、個人にかかる負担が大きいなと思いました。
審議を進めていくなかでは、被害者の家族の涙ながらの訴えがあったり、弁護士や裁判官など、司法側の人間のさり気ない誘導みたいなものが、無きにしも非ず。
だから、素人である一般人はどちらかと言うと「感情」で、量刑を決め兼ねないという危うさがあると言うのが最も大きな懸念。
被害者の死んでる所の写真なんかも見せられるので、精神的な負担も相当のものみたい。
見たくないですよね。映画じゃないんだし・・・。
そして、秘匿の義務。もしも禁を破れば6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金?
私みたいにお喋りな人間はどうしたらいいんでしょう?ミダス王の耳はロバの耳・・・・の散髪屋のように、どこかに穴掘って叫びたくなる・・・これもすごい精神的な負担ですね。
一番思ったのは「国民の義務」って言うんだけど、拒否権がないのが怖い。
労働、教育、納税・・・に、これが加わるって言うことでしょうか。
人の命を左右する事に、無理やり加えさせられ、拒否権がないことから「アカガミ」と同じだ・・・って言う意見もあるそうで、それを無理ない意見だとこのマンガを読んだ後は思います。
だって・・・・・
たとえば、このマンガみたいなケースのとき、迷わず「死刑」と言えるのか。
私にはとても、ムリ・・・。
もしも、自分の「死刑」と言う判断で、実際にその被告が死刑になってしまったら、一生そのことを背負っていかなくてはならず、耐え難い苦痛に思います。
ひょっとして、それが目的?
新聞やニュースで知った、犯人に対して、友だちなんかと「許せないよね、あんなヤツ死刑になるべきだ」と言う雑談とはワケが違う。
などなど、いろいろと考えさせられて。
マンガの中に「光」の部分も書かれてはいるけど、私個人としては
「裁判員に選ばれたら・・・大変なことだ・・・」
としか思えませんでした。
余談だけど、正直言って、この人の絵が・・・・・と、思って、このひとのマンガは敬遠していました。が、今回はじめて読んだこの本、とても読み応えがあった。
ストーリーの構成がしっかりしているからだと思うけど、グイグイと読ませられて、一気に読んでしまった。マンガは絵が大事なのか、話が大事なのか・・・と、常々思っていたけど、やっぱり「話」かなぁ・・・と、このマンガを読んで思いました。
同じような方がいらっしゃったら、絵に惑わされず(・・・って、失礼千万な言い方でスミマセン)お手に取ってみて下さい。
あさみさんにお借りしました。ありがとうございました。
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