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わたしが人魚になった日/岩館真理子

2005年07月22日
わたしが人魚になった日
岩館 真理子
4088490908


集英社マーガレットコミックス
◆わたしが人魚になった日…1983年47号
◆街も星もきみも…1985年4・5号
◆幾千夜…1983年51号
◆センチメンタルリング…1984年4・5号 週マ掲載

◆わたしが人魚になった日
また出ました!立野瑞希!!「1月はクリスマス」に続いての登場。
今度は7人もの恋人を掛け持ちしている男を虜にしています。
その男に横恋慕してるのが主人公。影からそっと見てるだけ…のはずが、イキナリ起こした行動は、彼の目の前で海に飛び込むことだった??そこまでしても、男は瑞希に夢中なんだからどうにもならない。主人公のことは全然見覚えがないのだ。そういう主人公の切なさを描いた作品。
瑞希は嫌いなキャラだけど、妊娠したことだし男に愛されて幸せをつかんで赤ちゃんも可愛がって、幸せな家庭を築いて欲しい。

◆街も星もきみも
カムはみんなの嫌われ者。一見「瑞希タイプ」なんだけど、本当は寂しがりや。町で知り合ったトオルという少年に心を許し、ふたりで街を出ることに。でも、いつまでたってもトオルは来ない。
どこの街?とっても綺麗でまるで一幅の絵画のような街。街並みや、その街の灯りや、風景がとっても印象的で夢の中にいるような気分になる。こういう雰囲気、好きなんです。
ラストはとってもとっても切ない。
「わたしたちはひとつの星の中
 夜になればあなたにもわたしが見えるでしょう?
 だから さびしくないのよ トオル」
夢の国に住む二人のお話…。


◆幾千夜
森下リカコはナイトクラブの歌手。
いつも嫌そうにリカコの歌を聞く男に話し掛けてみれば、その男の妻が死んだのは図らずもリカコのせいだという。
ただ髪を伸ばしている事が…ただ、白いドレスを選んだ事が、自分では知らないうちに人を傷つけてしまった。
孤独を埋め合わせるように猫を飼うリカコ。いつか自分にも、帰れる場所が見つかるのだろうか。一緒に星を見る相手が見つかるのだろうか…。

中原中也の詩を読んでるような暗く切ない物語。リカコの孤独に胸が締め付けられるようだ。いつか幸せになって欲しい。そう願わずにいられない。そば屋のいたいけな息子の淡い恋心が涙を誘う。


◆センチメンタルリング
リカコの声が嫌いだと言った男は、いつまでもリカコのことを調べていた。リカコは海外に旅立つ。その前に男に「一晩一緒にいてください」と、頼むのだった。

男の逆恨みと、執着心の入り混じった屈折した愛情がちょっと哀しい。素直になってくれれば良いけど、リカコに優しくする事が出来ないあたりがあまりにもリカコに不憫を感じる。
深々と雪が降り積もる音が聞こえてきそうな、叙情溢れるシリーズである。
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[岩館真理子]Review | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
No title
栗ご飯さん、こちらにもコメントありがとうございます。
「街も星も君も」
はいはい、私も大好きで、本当にうれしいコメントです。
こんなに切なくて物悲しくて美しい物語を描かれた岩舘さんって、すごいですよね。
会えたかどうかも分からない結末がまた、余韻を残してますよね・・・。
No title
「街も星も君も」
が好きです。
幻想的な街並み、一匹狼の女子高生カム。幼い時罪を犯したトオル。
追っ手から逃れた二人が、再び会うことができたのかがわからないところがまたいいですね。
昔読んだときは、二人が「5つ目の駅で待ち合わせするんだ」ってところが、そんな、5つめなんてあやふやな約束、間違えたら会えないやん!と不安になっていました。
そう思った自分が懐かしいです。


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