2011年07月18日

銀色の髪の亜里沙 (1977年) (集英社漫画文庫) 和田 慎二 集英社 1977-03 by G-Tools |
![]() | 銀色の髪の亜里沙 (花とゆめCOMICS) 和田 慎二 白泉社 1992-03 by G-Tools |
さて、和田慎二さん追悼記事の続きです。
今回は、「銀色の髪の亜里沙」です。
この作品もかなり人気がある作品だと思います。
私もずっと再読したいと思っていたのですが、叶わずに・・・それがこのたび、ネッ友さんにお借りすることが出来まして、念願が叶い、読むことができました。すごくなつかしかった!!!読めて嬉しかった!!!
ありがとうございます七生子さん!
【あらすじ】
本条亜里沙は裕福な家庭で両親に愛され、幸せな少女だった。
13歳の誕生日には4人の親友・・美尾、マサコ、恵子、紅子達(彼女達の親はみんな、亜里沙の父親の会社の部下だった)を招いての楽しいパーティー。
しかし、その直後に父親が事故死してしまう。
2週間後には「亜里沙を元気付けるため」と称してのピクニックで、吐竜窟にやってきた亜里沙たち4人。
そこで亜里沙は、親友と思い込んでいた3人(美尾は来なかった)から恐ろしい真実を知らされる。
それは、3人が亜里沙を憎んでいたこと。そして亜里沙は吐竜窟へ突き落とされ、その間際に、亜里沙の父親の死は紅子の父親のたくらみだったことや、母親も同じように危ない目に合っているだろうことを教えられる。
抵抗の甲斐なく吐竜窟に転落した亜里沙。
しかし、亜里沙は生きていた。
水流をくぐり地下に打ち上げられた亜里沙を迎えたのは、何年もそこで暮らしている考古学者の夫婦だった。
考古学者から、自分をこんな目にあわせ、家族を奪った相手への憎しみを植え付けられた亜里沙は、その「復讐心」から生き残る力を得る。
光の当たらない地下は、少量のヒカリゴケによって生活できる程度の光があったし、目がない真っ白な魚やオオサンショウウオがいて、食糧も得られた。
考古学者夫婦は亜里沙を慈しみ、自分たちの持つ知識ややさしさを教育した。
月日は流れ、考古学者夫婦が死んだとき、亜里沙は白いオオサンショウウオの中に一匹、黒いものが混じっているのを見つけ、それが外からここへ入ってきたこと、外に通じる道があることを発見し、苦労の末に脱出に成功する。
地下で得たヒスイを元手に社会へ復帰を誓う亜里沙・・しかし、その髪は長年の地下ぐらしのために、総銀髪に変わってしまっていたのだった。
数ヵ月後、自分を貶めた元「親友」たちとおなじ高校に編入した亜里沙は、いよいよ復讐に着手するのだった。
【感想】
このお話は、一言で言うと、幸福の絶頂から奈落の底へ突き落とされた少女の復讐譚・・ということですね。
ものすごくインパクトのある物語で、読んだ人には深く印象に残っているはずです。
アレクサンドル・デュマの小説「モンテ・クリスト伯」に影響を受けて作られたのじゃないかと思うのですが、今改めて読み返すと、当時の印象よりもすこし小粒な物語だったかな~と思います。
まだ和田さんにとって初期の作品なので、後年の作品ほどのドロドロ・ギトギトした感じがなくて、割と記憶よりもあっさりとした復讐譚だなぁと思いました。
たとえば恵子は秀才で校内で一番の成績が自慢。でも、それが亜里沙に破られて、ついでに恋人にも去られて首吊り自殺してしまいます。マサコはそれをみて発狂。。。初めてこれを読んだ当時は、私も幼くカワユイ少女だったので(笑)それで溜飲が下がったのかもしれませんが、今となっては「手ぬるい!!!」なんて思ってしまいます(笑)。
信楽紅子に対する復讐は、しかし、凝っていて良いですけどね・・・・・。
想い出の仮面の裏に毒を塗り、その毒によって顔が破壊されるのを待つばかりの人生をほのめかす。それが嘘であれ本当であれ、顔が命の紅子は絶望して、こちらも自殺・・。これも手ぬるいとは思いますが、もっと手ぬるいのは一番の悪、紅子の父親には「紅子の死」が復讐だと言うオチ。
後年の和田さんだったらもっともっと読者の溜飲が下がるような、きつーーーいお仕置きをしてくれたんじゃないでしょうか。
これを焼き直して、もっとスケールの大きな作品を描くことも「アリ」だったんじゃないかな~~とか、いや、やっぱり「亜里沙」はそのままで残しておいて欲しい・・とか、色々思いますね。
しかし、物語としてはコンパクトによくまとまっています。
美尾との、キャンディの包み越しのキスなど、すごく印象深いです(笑)。
あと、亜里沙が地下から持ち出した「ヒスイ」は多分「水晶」ですよね。どうでもいいけど。
同時収録
「お嬢さん社長奮戦中」
父親は繊維会社の社長。仕事一筋で、娘である自分への愛情などないと思い込んでいたユミ。
しかし、父親の急死で社長の座に付くことになったユミ。父親の遺言だったのだ。
なれない仕事、7000万円もの借金、難題ばかりの毎日。
でも、仕事をこなし、借金を返すことの難しさを実感しては、逞しく成長していくユミ。
そして、会社の発明品「月光の絹」という繊維が完成した。
社長であった父は、ユミがその「月光の絹」で作ったウェディングドレスを着ることを楽しみにしていたらしいのだ。
それを知り、ユミは父親の愛情を実感する。
自分を社長に据えたのも、父親としてユミに逞しく生きて欲しいと言う願いがこもっていたのだ。
ユミは、父の真意を知り、社長として頑張っていくと決意するのだった。
※借金の相手が信楽老!!つねに悪人ですね(笑)
その他の収録
「冬の祭り」
「パパ!」
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