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昭和元禄落語心中/雲田はるこ

2012年03月15日
406380514X昭和元禄落語心中(1) (KCx ITAN)
雲田 はるこ
講談社 2011-07-07

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4063805549昭和元禄落語心中(2) (KCx(ITAN))
雲田 はるこ
講談社 2012-01-06

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「このマンガがすごい!2012」オンナ編第2位の作品です。
渋いおじ様萌え(枯れ専)のひとは読むとよろしいでしょう。
着物を粋に着こなす素敵なおじさまが登場します。
なんたって落語家ですもん。着物は・・・当然ですよね。

物語は、主人公与太郎(本当は与太郎と言う名前じゃないんだけど、本名はなかなか出てきません。本名関係ないんですよね・・・強次ってあとで出てくるけどこれが本名らしいです。)が刑務所から出所するところから始まります。
身元引受人がいないので模範囚だったにもかかわらず満期まで勤め上げた与太郎。
彼には「行くところ」がありました。それは大好きな落語家の八雲のところ。勝手に弟子になると意気込んでいます。
弟子は絶対にとらないので有名な八雲師匠、どうしたことか与太郎を引き受け、可愛がります。
八雲のところにはもうひとり、小夏と言う女の子がいて、彼女は八雲の子供と言うわけじゃないけど、まるで反抗期のムスメみたいに態度が反抗的。
運転手で家事全般を受け持つ優しい松田さんとの4人の暮らしが始まったのですが・・・。

なんと言ってもこの師匠の八雲さんが魅力的。かっこいい・・!
クールで鋭くて・・・時に優しく、でも実は内面を隠して本当は怖い人って言う感じがします。
与太郎は本当に人懐こくて、能天気と言うか天然で、師匠の怖さとのやりとりが面白いんですよね。
そして「ガラスの仮面」でマヤが演じた舞台劇を作中舞台として楽しめたように、こちらも作中落語が楽しめます。
私はあんまり落語を聞かないので疎いんですが、落語の好きな人ならきっともっと楽しめるんじゃないかな?と思います。

謎なのは、小夏のお父さんも落語家で、それも八雲のいいライバルでもあり親友でもあった有楽亭助六。
彼は早くに亡くなったのだけど(それで、小夏を八雲が引き取った)そのときのことを小夏がとてもうらんでいる。
いったい何があったのか?
そして、突然ブチキレる八雲、なにがそのスイッチに引っかかるのか・・・。
娘の小夏や与太郎が、助六の芸を真似たりするときに激昂するんですよね。
こういうときの八雲さん、本当に怖い。

タイトルの「心中」っていうのは、どうやら助六の死とも関係あるのかもしれないけど、落語などの伝統芸能の存続に関わることのようです。町の風景や人と人の関係もどんどん変わって行って、落語が「リアル」じゃなくなっている今、落語の世界がもう聞き手に対してあまりに別世界であり、想像も出来ない、わからない世界になってしまったかもしれない今、そのなかで敢えて「落語の生き延びる道」を探そうとして、それが出来ないときは落語もろともに「心中」する落語家の宿命を表しているようです。

物語は若き日々の八雲と助六の物語へ。
いったい何が二人に起きたのか?
そして、助六の死の原因は?


続きが気になるところです。

落語と言えば逢坂みえこさんの「たまちゃんハウス」もありますね(*^_^*)
4088653726たまちゃんハウス 1 (クイーンズコミックス)
逢坂 みえこ
集英社 2006-11-17

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あと、Amazonの関連本で登場したこの本がなんか気になる~~・・・・。
4778321545ひらひら 国芳一門浮世譚
岡田屋 鉄蔵
太田出版 2011-11-29

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あさみさんにお借りしました。ありがとうございました。


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