2005年07月22日
どんぐりの家 [少年向け:コミックセット]
山本おさむ

圭子は生まれたときから、耳が聞こえなくて、知的障害もある。
人よりも発育が遅いと医師に相談した所、2歳3ヶ月でその事が分かる。
「この子は耳が聞こえません。知的障害もあります。
だから、しゃべれないし、読み書きも出来ない。
普通の学校にはいけないだろうから、そのつもりで」冷淡に言い放つ医師。
成長するにつれ行動範囲も広がり、目を離した隙に、人に家に裸で上がり込んだり、お店の品物を勝手に荒らしたり、警察沙汰になってしまったり、親は気が休まる時がない。家にいても、うち中を荒らしたり暴力を振るったり、自分を傷つけてしまったり、もちろん粗相も・・・。
夫はそんな家庭から目をそらしているかのように、お酒を飲んだり、妻に怒ったり。夫婦で落ち着いた時間も持てないありさまだ。
相談員には「この子はまだアナタを親として認識していません」と言われたりする。
「この子が私から普通の生活を奪っている、この子にとって私は何?」と疲れ果てたお母さんは悩む、逃げたいとさえ思う。
「なぜうちにだけ、こんな子が生まれたのか。なぜ」という叫びは悲痛だ。しかし、あるとき、喘息の発作を圭子が起こし、意識がなくなりかける。救急隊員が「声をかけて、呼びかけて!」と言う。
「この子にいくら呼びかけても耳が聞こえない」と思う母親を横に育児に非協力的だった父親が叫びだす。
「圭子~!圭子~~!」と。
すると、聞こえているかのように体をくねらせる圭子。それをみて初めてお母さんも「生きて!圭子!」と、心から思うのだ。このことがはじめて、家族に連帯感をもたらした。
ここから、圭子ちゃんを本当に愛している事に気づいたと言えるんだろう。初めて家族としての出会いが訪れた瞬間、それは感動的だった。
ここまでの話はほんの序盤です。
たった、1話にこれだけの内容がぎゅっと詰まっているのだ。
これからもまだまだこの家族の紆余曲折はある。それが、私たちに深く問題提起していて、考えさせられる。
障害があっても自分の子供だから可愛いのでは?とか、そばから見たら思うかもしれない。
あるいは「うちの子はこんな子どもじゃなくて良かった」と思うかもしれない。
実際、知り合いの教員で障害児を受け持っている人が(パートで)「うちの子どもは普通に生まれて着てよかった、ッて思う」と言っていた。
これを聞いて私は、それはあんまりその障害児の子達とその親御さんに対して失礼な言い方ではないかと思った。
だって、もしも私が親なら子どもの先生が、子供の事をそんな風に思っていつも接しているなんて知ったら、とっても悲しくなるに違いない。
しかし、そんなのは奇麗事なのかもしれない。
私だって表面はかっこいいことを言えても、心の中は同じだ。
たかが歯並びが悪いだけでそれが、苦になるし、また、ちょっと色が黒ければそれも苦になる、もっと指が綺麗だったら良かったのに、なんて思ったり。
成績だって、悪いと悩むし、思う通りに成長してくれないと、また悩む。
そんな私がいくら何を言っても、表面上でのことでしかない。
このマンガはとっても感動的だ。
涙が流れて止まらない。家族だけではなくて、子どもたちに関わる先生たちの奮闘や愛情も、すばらしい。2巻も3巻もやはりなけた。
でも、本当は「泣けたわ~」で、終わらせてしまってはいけないと思う。障害のある人も、同じように生きている。みんなどこかしら、違うんだ。私だってそうなんだ。それをもっと真剣に見つめる所からはじめなければならない・・・そう思う。難しいけど・・・。
マンガの中でも、障害児たちを取り巻く環境の厳しさが描かれている。まず、家族。地域、学校・・。教育、福祉。いろいろ、考えさせられた。ひどいなーとか、もっとちゃんとしてやれよ!なんて人事みたいに考えていたら、何にも始まらない。自分の生きる社会の事だと、心からそう思えない限りは。
山本おさむ

圭子は生まれたときから、耳が聞こえなくて、知的障害もある。
人よりも発育が遅いと医師に相談した所、2歳3ヶ月でその事が分かる。
「この子は耳が聞こえません。知的障害もあります。
だから、しゃべれないし、読み書きも出来ない。
普通の学校にはいけないだろうから、そのつもりで」冷淡に言い放つ医師。
成長するにつれ行動範囲も広がり、目を離した隙に、人に家に裸で上がり込んだり、お店の品物を勝手に荒らしたり、警察沙汰になってしまったり、親は気が休まる時がない。家にいても、うち中を荒らしたり暴力を振るったり、自分を傷つけてしまったり、もちろん粗相も・・・。
夫はそんな家庭から目をそらしているかのように、お酒を飲んだり、妻に怒ったり。夫婦で落ち着いた時間も持てないありさまだ。
相談員には「この子はまだアナタを親として認識していません」と言われたりする。
「この子が私から普通の生活を奪っている、この子にとって私は何?」と疲れ果てたお母さんは悩む、逃げたいとさえ思う。
「なぜうちにだけ、こんな子が生まれたのか。なぜ」という叫びは悲痛だ。しかし、あるとき、喘息の発作を圭子が起こし、意識がなくなりかける。救急隊員が「声をかけて、呼びかけて!」と言う。
「この子にいくら呼びかけても耳が聞こえない」と思う母親を横に育児に非協力的だった父親が叫びだす。
「圭子~!圭子~~!」と。
すると、聞こえているかのように体をくねらせる圭子。それをみて初めてお母さんも「生きて!圭子!」と、心から思うのだ。このことがはじめて、家族に連帯感をもたらした。
ここから、圭子ちゃんを本当に愛している事に気づいたと言えるんだろう。初めて家族としての出会いが訪れた瞬間、それは感動的だった。
ここまでの話はほんの序盤です。
たった、1話にこれだけの内容がぎゅっと詰まっているのだ。
これからもまだまだこの家族の紆余曲折はある。それが、私たちに深く問題提起していて、考えさせられる。
障害があっても自分の子供だから可愛いのでは?とか、そばから見たら思うかもしれない。
あるいは「うちの子はこんな子どもじゃなくて良かった」と思うかもしれない。
実際、知り合いの教員で障害児を受け持っている人が(パートで)「うちの子どもは普通に生まれて着てよかった、ッて思う」と言っていた。
これを聞いて私は、それはあんまりその障害児の子達とその親御さんに対して失礼な言い方ではないかと思った。
だって、もしも私が親なら子どもの先生が、子供の事をそんな風に思っていつも接しているなんて知ったら、とっても悲しくなるに違いない。
しかし、そんなのは奇麗事なのかもしれない。
私だって表面はかっこいいことを言えても、心の中は同じだ。
たかが歯並びが悪いだけでそれが、苦になるし、また、ちょっと色が黒ければそれも苦になる、もっと指が綺麗だったら良かったのに、なんて思ったり。
成績だって、悪いと悩むし、思う通りに成長してくれないと、また悩む。
そんな私がいくら何を言っても、表面上でのことでしかない。
このマンガはとっても感動的だ。
涙が流れて止まらない。家族だけではなくて、子どもたちに関わる先生たちの奮闘や愛情も、すばらしい。2巻も3巻もやはりなけた。
でも、本当は「泣けたわ~」で、終わらせてしまってはいけないと思う。障害のある人も、同じように生きている。みんなどこかしら、違うんだ。私だってそうなんだ。それをもっと真剣に見つめる所からはじめなければならない・・・そう思う。難しいけど・・・。
マンガの中でも、障害児たちを取り巻く環境の厳しさが描かれている。まず、家族。地域、学校・・。教育、福祉。いろいろ、考えさせられた。ひどいなーとか、もっとちゃんとしてやれよ!なんて人事みたいに考えていたら、何にも始まらない。自分の生きる社会の事だと、心からそう思えない限りは。
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Comment
そうなのよ~~。
子どもに読ませたいよね!
バヨリンもいいよ~~♪
わたしは「はだしのゲン」7巻だけ
なぜかいちごが借りてきて読んだけど
やっぱ、泣けるわ~。
これも子どもたちに読んでもらいたい。
でも、オトナも一人でも多くの人に
読んでもらいたいよね♪
子どもに読ませたいよね!
バヨリンもいいよ~~♪
わたしは「はだしのゲン」7巻だけ
なぜかいちごが借りてきて読んだけど
やっぱ、泣けるわ~。
これも子どもたちに読んでもらいたい。
でも、オトナも一人でも多くの人に
読んでもらいたいよね♪
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