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夜明けの図書館/埜納 タオ

2012年07月03日
4575334626夜明けの図書館 (ジュールコミックス)
埜納 タオ
双葉社 2011-10-17

by G-Tools


むずかしい苗字のマンガ家さんですが「ののう」さんと読むそうです。

主人公は、葵ひな子25歳。
3年間の就職浪人を経て、この、暁月市立図書館の司書として採用され、働き始めたばかりの新米職員。
司書として、ひとつの重要な仕事に「レファレンス・サービス」があります。
来館者のさまざまな疑問、調べ物について適格なアドバイスをする仕事です。
この作品は、新人司書ひな子が、レファレンスを通して、司書としても人間としても成長しながら、他の図書館員たちとも次第に仲良くなっていく物語です。

司書・・・・本読みさんの中でいったいどれほどの人があこがれているでしょうか?司書と言うお仕事に。
本が好きな人なら、誰もが一度は「図書館で働いてみたいな」と言う気持ちを持ってるんじゃないでしょうかね。
図書館に行くと、いつも目にする職員さんたち、でも、その実「見えない」部分のお仕事も多いはずで、それがどんな仕事なのかは、実際に働いてみないとイマイチ分かりませんよね。
特にレファレンスなんて、たいていが一対一のとても個人的なものだし。また依頼そのものにも個性があるし。いわば百種百様のレファレンスがあるのですよね。
このマンガでは、そんなレファレンスという仕事が、ひな子の姿を通してとてもよく分かります。


第一話の「記憶の街・わたしの街」では、昔子どものころ、この土地に住んでいたおじいさんが、当時の「とある郵便局」の写真を探しています。
ひな子はまだまだ慣れない自分の仕事にかぶさってきたその依頼に、うまく対処できません。
同じ職場の大野さんは、レファレンスをどっちかと言うと馬鹿にしていて、非協力的。
とても難しい依頼でしたが、ひな子たちは、調べていくうちに自分も一緒に学べる・・と言うところに「やりがい」を感じているので、すがすがしい元気をもらえる気がします。


第二話は50歳の主婦が、あるとき自分の父親が書いた手紙を発見。
草書で書かれた手紙なので、読みにくいのです。で、主婦はそれを読めるように・・・と、草書に詳しい本を借りにきたのです。が。よく読むとなんだか、父親が誰かよその人に書いたラブレターのようで、主婦は父親にあきれ返って手紙の解読を放り出してしまうのですが・・・。
求められた資料を探し出すまでが自分たちの仕事だから、それ以上のことは抱え込むなと言う大野さんに対して、今回の件ではきっとまだ本当の答えが待っていると信じて、レファレンスを続けるひな子。
探し出した答えは父親が娘を思う大きな愛情でした。


第三話は、小学生の男の子が「光る影」について訊いて来ます。自分の影が光っているのを見たんだと。でも、友達には信じてもらえず、うそつき呼ばわり。自分の言っていることを証明したいと言うのです。
担当は、レファレンスを苦手・・というか、馬鹿にしている大野さん。
大野さんは、ちょうど自分の仕事について悶々としているときにこの依頼に当たり、ひな子も交えて一生懸命答えを探すうちに、いつの間にか自分の仕事への「自信」みたいなものを一緒に見つけると言う・・。
このお話が私は一番好きですね。(*^_^*)


第四話は暁月市に伝わる都市伝説の話。図書館の前にあるあかつき橋は、「満月の夜に橋の上で振り返ってはならない。振り返ればあなたの大事な人が消えてしまう」と言う言い伝えがあるそうなのです。
依頼者は彼氏と連絡が取れなくなったのを、橋の上で満月の夜に振り返ってしまったことが原因では?と思っているのです。怪談めいたその話を、ひな子たちはなんとか覆そうと、一生懸命にいろんな文献をあたります。
そして見つけた答えは・・・?
この図書館では、恒例の「怪談会」って言うのを催しているようで、ちゃっかりこのレファランスを利用するんですが、冒頭であんなに冷たくて杓子定規な大野さんが、このラストシーンでは・・・(笑)。

ひな子はみんなと打ち解けて、大野さんもだんだんと図書館仕事が好きになってきて(元々整理や補修仕事はピカイチ!)心がほっこりするような気持ちになりました(*^_^*)

わが町の図書館にも、いろんなドラマがあるんだろうな。
そんな風に、大好きで大事な図書館に思いを馳せつつ・・・オススメします♪

ムクさんにお借りしました。ありがとうございました(*^_^*)
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