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図書館の主/篠原 ウミハル

2012年07月03日
図書館の主 1 (芳文社コミックス)
図書館の主 1 (芳文社コミックス)篠原 ウミハル

芳文社 2011-08-09
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「夜明けの図書館」に続いて、もうひとつ「図書館」マンガをご紹介します♪


こちらは、私設の「タチアオイ児童図書館」が舞台。
ある夜会社員の宮本は、飲み会の帰りに悪酔いしてしまい、ふらふらと歩くうち、この児童図書館を見つけ何の気なしに入ってみました。そこには、世にもぶっきらぼうで態度のデカい図書館員の、御子柴と言うきのこアタマの男がいて、宮本に「酒臭い」「酔っ払いは来るな」だのの暴言を吐きます。
思わず宮本は声を荒げその図書館員と喧嘩になりそうに!「(後に分かるのですが、この宮本さん、とっても温厚なんですよ。こんな風に怒る場面なんてないんですよ。それぐらい腹がたったと言うか、御子柴の態度が過ぎたと言うか笑)
御子柴に向かって「児童書なんて」と馬鹿にした発言をします。
すると、御子柴は
「子供向けの本だからといって馬鹿にするなんておかしい。この図書館にあるすべての本を読んだわけではないだろう?読んだことがない本を馬鹿にするなんて愚の骨頂」と大激怒。
激怒しながらもなぜか宮本に、本の片付けの手伝いをさせます。
そのとき宮本が手にした本が、新美南吉の童話集。
中を見てみるとそこには「うた時計」と言う物語が載っていました。
宮本はその物語を読み、自分の体験と重ね合わせて、今まで連絡していなかった父親に連絡することにしたのです。
御子柴は自分にわざとこの本を与えたのではないかと疑う宮本に、御子柴は言うのです。
「お前が本を選ぶんじゃない、本がお前を選ぶんだ」と・・・・。
まるで、本当に新美南吉の物語を読んでいるような、少しだけ不思議で心の奥がじわっとあったかくなるような、そんな物語でした。


物語は、このタチアオイ児童図書館を舞台に、御子柴、板谷夏夜ちゃんと、神田みずほちゃん、そこに常連となった宮本さんを加えて展開していきます。
前回感想を揚げた「夜明けの図書館」は図書館で働く主人公がレファランスを受けながら、司書として働き成長する姿が描かれましたが、この「図書館の主」は、ともかく本が好き!という気持ちが全編にあふれていて、本好きにはあちこちで、胸をぐっと掴まれるあれやこれやがてんこ盛り。
とある子どもがスチーブンソンの「宝島」を読むことで、つまらないいじめをやめて、本を通じていじめていた相手と友達になったり・・・・。本の役割として非常に正しい姿が描かれていて(笑)スカッとするのです。
そして、本を読むことで、わくわくするような気持ちが伝わってきて、たまらないです(*^_^*)
「面白すぎて読み終わるのがもったいない」と言う子供に、御子柴は言うのです。
「安心しろ。読み終えたらまた新しい本を借りたらいい。ここにはこんなにたくさんの本がお前を待っている」
私たちも「読み終わるの、もったいない!」と思うほど夢中になる本に時々出会います。
次にそんな本を読んだときはこの言葉を思い出しそうです(*^_^*)
見かけはぶっきらぼうで陰気だけど、誰よりも児童書を理解して知っている、この御子柴がだんだんカッコよく見えてくるのですよね~~~(笑)。
ちょっと「金魚屋古書店」の斯波さんを彷彿とします。タイプは全然違うけどね(笑)

宮本さんとみずほちゃんの、中学生以下の恋愛の進展も気になるし(笑)カヨちゃんの背景にも言及しつつ、なぞのオーナー小手川、そして2巻のおしまいに登場した御子柴の妹(3巻では御子柴の家族関係、過去が明らかに???)・・・それぞれの人間関係も描きつつ、児童書に対する愛をいっぱいに感じる物語です。

漫画だけど、本好きさんにオススメの一冊!(現在3巻まで出ています)


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